彼女の心は、硬く冷たい氷に閉ざされていた。当然だ。異端者の娘とさげすまれ、誰とも交流がないまま育ってきたのだから。
しかし、幽閉されていた時より解放されてからの彼女の方が生きる意味を見失っていた。いきなり、何者かを決定づけられていた環境から、何者かが曖昧になった環境に急に放りだされたのだから。自分は何者か、なんで生まれたのか急に知りたくなった。彼女をそれだけが動かしていたのかもしれない。まずは、発見された場所に向かおうということになった。
陸灯台は、ルザス西部高地の北部の低い丘の上にあった。高地ドラヴァニアとアバラシア雲海、イシュガルドを結ぶ交通路の指標となるためだ。 そこには、既に当時の様子はなく、何代も後任の灯台守が住んでいた。しかし、竜の話は、代々語り継がれており、夫婦の遺品が残されていることが分かった。竜のうろこ、何通かの手紙、グリダニアの通商手形があった。