彼女からヘルプが来た。フレの討滅戦攻略の手伝いだった。いつものように快くOKを出して、パーティに加わった。いいところを見せたくてMTでやりますよと軽口をたたいた。
ムービーアイコンで初見のキャラが確認できた。ヴィエラのイケメンキャラだった。
戦闘が始まった、見知ったコンテンツなので問題なかったが初見には厳しいか特有のギミックがあった。そのギミックがイケメン君に襲い掛かりAOEを踏んだ。ヤバい、忙しいので、ヒーラーの対応遅れ気味になる。とっさにタンクの持つ軽減を投げてイケメン君が次の攻撃で倒れることを防いだ。この動き見てるよねと、ちらっと、彼女を見た。その後は問題なく敵を倒し、戦闘が終わった。
社交辞令的に「クリアおめでとう」とお祝いのメッセージを送った。
彼女は、クリアしたイケメン男性キャラとエモートの掛け合いを始めた。他のメンバも周りでクラッカーや踊りなど楽しげにふるまっていた。
僕はその輪に入ることができないどころか、いらいらしだした。彼女に褒めてもらいたいとか、お礼を言ってほしいのではない。そうではない。
最近、彼女が男性キャラフレンドと仲良く談笑しているのを見たり、自分がいけないコンテンツに一緒に行っているのを見ると、感情がうまくコントロールできなくなっていた。いわゆる嫉妬だと思う。黒い感情に埋め尽くされた。自分が小さくて情けなくなる。
一人そっと、コンテンツから出て、パーティから抜けた。こういうときは、僕はボッチでコスタ・デルソルの丘から海をながめて心を落ち着かせる。
この場所は、好きだ、特に夕日がいいと思う。この世界の1日は、早いので、ぼーっとしているとすぐ夕日が迫ってくる。
周りには、モンスターが数体いるだけで、人はいない。一人で座っていても誰にも見つかることはない。たまに、上空をマウントが飛んでいくが、僕のことなど、気にもかけてないだろう。