この日ゲームに入るとすぐに長谷川から連絡が入ってきた。今日は、用事があって入れないから、代わりにアヤちゃんのサポート頼む。と言ってきた。FCハウスでアヤちゃんが待っていた。二人でIDに行くのは初めてだ。アヤちゃんは、いつもの通りヒーラーだが、僕は、タンクでもよかったけど、どちらかが落ちたときサポートできないので、念のため蘇生付きのキャスターでCF申請した。タンクとDPS1名を加えてアヤちゃんが解放したばかりの未攻略のIDに挑戦する。タンクが結構まとめるタイプで危なかった。僕もヒールのサポートしつつ、攻撃した。2ボスまでは、何とか支えていたが、2ボスと3ボスの間の道中の雑魚を全部まとめて、対応できなくなった。とうとうタンクが倒れた。アヤちゃんはパニックになっているようだった。僕がタンクを蘇生して回復している間に、もう一人のDPSが倒れた。残りの雑魚は、僕とタンクで処理した。タンクが、アヤちゃんに向かって、「ちゃんとヒールしてください。」とチャットしてきた。僕は、カチンときて「まとめすぎなんだよ。責任転嫁するなよ。」とチャットで返してしまった。タンクも「これくらい支えられないのは下手だからだろ、迷惑なんだよ。」と返してきた。アヤちゃんは黙っていた。そこに、もう一人のDPSが走ってもどってきて「まあまあ、あと3ボスだけだから先行きましょう」となだめた。タンクは、「まあまあじゃねえよ」というとIDから退出してしまった。もう一人のDPSが「続ける雰囲気じゃないですね。」といって、そこで解散になってしまった。
アヤちゃんが「ごめんなさい」と言ってきた。
「アヤちゃんは悪くないよ。あいつがまとめすぎただけだよ」と素の自分で回答してしまった。直ぐにチャラ男キャラだったことを思い出して「水着着てくれてないんだね」と付け加えた。
「着るわけありません。」
アヤちゃんの装備を確認すると指輪もつけていない。
「指輪はつけてよ」というと「つけられません」と返ってきた。
「そうじゃなくて今つけている指輪は、レベルが低いんだよ。もうレベルアップの効果もないので交換したほうがいいよ。」
「えっ、そうなんですか。レベルアップに有利だからつけておいてとマスターに勧められていたので。」と、ちょっと驚いていた。
「かわいいアヤちゃんに意味ない物なんか送らないよ。」やっと調子が戻ってきた。
「装備更新時期だね。指輪つけてもう一回ID行こうよ。」と僕が提案する。
次のID攻略は、ダンクが無理なまとめをしなかったので、うまくいった。
クリアするとアヤちゃんのレベルが1個上がった。
「装備更新しよう。ちょっと待って。直ぐ作るから。」
と僕は、FCハウスにアヤちゃんを待たせ、近くのマーケットボードに素材を買いに行った。