幻想

次の日、彼女の見た目が変わっていた。というより以前の姿に戻っていた。
ララフェルからエレゼンフォレスターに変わっていた。びっくりして開口一番「どうしたの」ときいた。
「んっ。気分。だってララフェルじゃミコッテの女子力と勝負にならないじゃん。思い出バイアスをフル活用だよ。」と返ってきた。“何の勝負だよ。”と思ったが、彼女が過去のことを吹っ切ったんだなと思うと、ちょっと嬉しかった。
今日は、Yさんの初めてのID(インスタンスダンジョン)に付き合う予定だ。Yさんも彼女を見て、最初、「誰?」となっていたが、名前見て、「これが噂の幻想なんですねー。すごいなこのゲーム。」と感心していた。
僕がタンク、彼女がヒーラー、Yさんが巴術士でCF(コンテンツファインダー)に申請。カンスト(カウンターストップ=上限値に達した状態、ここの場合ジョブレベルを指す)組が二人いれば、最初のIDは、サクサクだった。
IDの後、Yさんが「ありがとうござます。助かりました。ドキドキですね。」と興奮気味に話し始めた。「今後も3人で進められるとうれしいな。FC(フリーカンパニー)だっけ、ギルド立ち上げましょうよ。」と興奮ついでに提案してきた。
僕は当然戸惑っていたが、彼女はちょっと考えて「いいねー。そうしよう。FC経験から私がマスターね。」といった。
彼女が自分からマスターに立候補したのは、びっくりした。僕にさせなかったのは、やっぱり、マスターの事、引きずっているのかな、と思った。

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