エタバン

YさんとSpark君のエタバンの式典が行われた。予想に反して、式に呼ばれたのは、僕と彼女だけだった。彼女と二人、彼らの式典の様子を見ていた。なんとも言えない気まずさを感じた。それが何かはっきりわからない。自分が逃げているものの正体を確かめる勇気がなかった。それでも、素直に二人を祝福することはできた。
二人になんで、出席者がFCメンバだけなのと聞くと、Yさんが「私は、撮影会のフレンドとか呼びたかったんですけど、Spark君が、家族だけが良いというので・・。」
Spark君は、「いやー、FCは、家族でしょ。こういうことは、まず、家族にちゃんと祝福してもらわないといけないかなと思って。いろんな人呼ぶと重みが薄まって、ただのイベントになっちゃう感じがして・・・。」
Yさんが、「しかたないな、そういうことなら。」と照れていた。つづけて、
「でもちゃんと、撮影会のメンバとは、2次会あるからね。スタジオハウスを所有しているフレが、ウェディング用に模様替えしてくれているので、そこで2次会兼、撮影会やります。」
Yさんはさらに、僕たちに「二人は2次会に来なくていいです。二人でどっか行ってください。あっ、ご祝儀はお願いします。衣装代にギルが必要なんです。家族ですよね?」
とおねだりされた。そのおねだりエモートどこで覚えたんだよ。
そのままエタバンの二人は、二人乗りマウントで2次会に向かった。僕たちは、それを見えなくなるまでその場で見送った。
彼女と二人で行きたい場所、あの丘の上かなと思って彼女をさそった。いいよと言われたのでPT組んでコスタ・デル・ソルにとんだ。
丘の上に二人並んで座り、黙って海を眺めていた。僕から誘ったんだから、なんか言わなきゃと考えるほど言葉が浮かんでこない。ただ「家族っていいね。」とだけ言った。彼女は「うん」とだけ返した。また黙ったまま、海を眺めた。

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