消しゴム

2学期から朝の彼女との会話が「ごめん」から「おはよう」になった。笑顔つきで。あいさつの後、彼女とマドンナと僕の3人の輪ができていたのは不思議だった。マドンナとも席が隣同士で会話するようになっていた。マドンナは、友達の友達という認識だった。
中間試験のある日、僕の足元を消しゴムが転がっていった。僕も拾えない距離まで転がって行ってしまった。マドンナが落としてしまったようだ。彼女は、クラスのピリピリした雰囲気の中、声を上げることをためらっているようだった。僕は、予備の消しゴムを持っていたので、黙って彼女の机に僕の消しゴムを置いた。試験中なので彼女の方を見たり、話しかけるわけにもいかず、黙って。試験後、すぐに僕は、彼女の消しゴムを拾いに行き、僕の消しゴムを回収した。マドンナから「ありがとう」と言われた。

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