昨夜、泣きはらしたけど会社は、休めない。今日は、同期の山田君と一緒に研修があるので、私が抜けると指導する先輩に悪い。何とか出勤した。会社に来れば気持ちも切り替わり、表向き普通になった。昼休み、一緒に昼食をとる同期女子とタイミングがずれたので、今日は、研修が一緒の山田君と食堂に向かった。
山田君はよく見ると童顔っぽい柔らかい見た目だ。ふられたせいか、そんな山田君がちょっとかわいいと今日は思えた。
「山田君は、休みの日とか何してんの」
「僕ですか。大体、オンラインゲームに入ってますね。」
「そうなんだ。彼女とかと遊びに行かないの。」
「彼女いない歴イコール年齢です。僕は。」
「そーなの?嘘ついてない。」
「嘘じゃないですよ。ゲームの中も女性キャラなので恋できてないですね。」
「えっ、山田君の操作するキャラの性別は女性なの。」
「そうですよ、別にキャラの性別は自由ですから。かわいい女性キャラです。変ですか?」
「よくわからいけど。女性が男性やってもいいんだよね。」
「もちろん大丈夫です。そういう人も実際いますし。」
「変なこと聞くけど、キャラ動かしてるときは、どんな気持ちなの。」
「うーん、いろんな人いますね。分身として同一視してる人もいるし、ただ操作しているキャラと割り切ってる人もいるし、それぞれじゃないですか。僕の場合、同一視はしてないけど結構感情移入していますね。」
「さらに変なこと聞くけど、その時の山田君のこころは、男性、女性?」
「どうしたんですか。うーん、深く考えたことないですけど、女性なんですかね、男性ではないですよ、多分。」
「ちょっとそれ始めたいんで、詳しく聞いていい。・・・・。」
私は、山田君からゲームの始め方を詳しく聞いた。