その日の夜は、カコちゃんの誘いでクルザス西部高地に二人で向かった。昼間とは性別が逆転してるけど。丘の上に登って、暗くのなるのを待つ。カコちゃんが、今日、オーロラが見えると調べてくれていた。
ぼーっと、空が光り出す。幻想的な風景に包まれた。

「カコちゃん。きれいだね。」
「えっ、私。照れるな。」
「違うよ。オーロラだよ。カコちゃんもきれいだけど。」
結局、僕は、男の気持ちになれたのか確信がないままだった。でも相手を思いやる気持ちが大事なことは分かった。私がフラれた原因が分かった気がした。変化に疲れたのが一番の理由だけど、二人の関係に甘えて、放置しちゃったんだよね。きっと、挽回するチャンスも時間もあったのに。
「カコちゃん。」
「何、ベンタ君」
「帰りのこと、ごめんね」と私は山田君に謝った。
「今は山田になれないよ。別に、ベンタ君の所為じゃないし。やりたい様にやっただけ。」
「手を握ってくれてありがとう。すごく安心した。ここじゃ、僕がカコちゃんにやってあげられることは、まだ少ないけど、話相手にはなれるし、そばに居られる。それだけ。これから追いつけるように頑張るね。」
「いいよ、がんばらなくても、ゆっくりいこ。」
僕は、おかしな二人だと思ったけど、これでいいとも思った。
「これからもよろしくね。カコちゃん。」
「こちらこそ、よろしく。ベンタ君。」
空が明るくなってきた。きらきらとスターダストが舞いだした。それが、二人を包んでいた。