商談の土曜日午後、着ぐるみ、ウサ男、眼鏡女子、僕でFCハウス前に集合した。
もう入ることができないFCハウス。眼鏡女子は、ここにいる。どうするんだよと思っていると着ぐるみが僕たちの前に出てこちらに振り向いた。頭装備が外れている。
その顔はまさにミコッテ女子だった。
「皆さんごきげんよう。全員お揃いね。残念ながら今回買い手がついたの。このFCハウスはFCごと売却させてもらうわ。」
高らかに笑って見せた。
そこに、長身美人エレ女が現れた。
「お待たせしました。ミコッテ女子さん。早速商談に入りましょう。」
「長身美人エレ女さんですね。この度は、ありがとうございます。下々の物がうるさいので、別の場所で商談しましょう。移動しますのでPT組んでください。」
ウサ男、眼鏡女子と僕は、その場に残された。
どうするんだよと眼鏡女子に相談しても、眼鏡女子はピクリとも動かない。あれ、ネットが落ちたかなと思ったがオンラインのようだった。

この時、別の場所で、売却の話が進んでいた。長身美人エレ女は、900万ギルに値切り交渉し、さらに、信用できないのでは、マスター権限移譲前は、半額しか入れないことを宣言した。買い手がつかないで焦っていたミコッテ女子は、その条件をのんだ。ここでさらに長身美人エレ女は、十二神歴的に今日は日が悪いので、明日、取引日にします。また明日。FCハウス前で取引しましょうと言った。そのまま今日の商談は終わった。
FCハウス前の眼鏡女子は、空を見つめたまま、黙って、動かないままだった。僕たちはその場で待つしかなかった。しばらくして、ぴくっと急に動き出した。
眼鏡女子は、「早くここを離れましょう」というなり、その場を離れた。