誤爆

僕がFCハウスに入るとMoonちゃんが、一人、FCハウスでたたずんでいた。Sun君は、あれ以来、数日間インしていない。僕は、「あれ、Moonちゃん、今日は一人?Sun君は?」と聞いた。
「ちょっとトラブルがあって、それから入ってきません。」Moonちゃんは除名の事の顛末を話した。
僕は、思わず「あー、わかるは、それ」懐かしい感情がよみがえった。
「やっぱり、除名されたのがショックだったんですかね。」
「それはそれでショックだったと思うけど、それ以上にMoonちゃんと一緒だったことがショックだったんだよ。倒れただけでもかっこ悪いのに、挽回の機会もなかったからね。」
「私何とも思ってません。」
「そういうことじゃないんだよ、かっこよく見られたいんだよ。かっこ悪いところ見られたくないじゃん。」
「そういうもんなんですか。」
「そういうもんだよ。単純なんだよ。」
「わかるんですね。やっぱり、親子なんですね。」
思わず、Moonちゃんは、口走ってしまった。
「んっ、親子って、どういうこと?」
「あっ、なんでもないです。忘れてください。」
「いやいやいや、親子って、誰と?」
そこにマスター=彼女が入ってきた。「楽しそうだね。」彼女は、Moonちゃんを僕と挟む形で座った。

クエスト6―オールド・シャーレアン

僕は、オールド・シャーレアンに向かった。魔法大学での医学者の集まりがあった。彼は、イシュガルドの大学で書き上げた論文を学会に送っていた。そこで認められ、オールド・シャーレアンで開かれる学会での発表依頼があったのだ。東方医学とエオルゼア医学の違いと融合についての論文だった。発表は、昨日、既に行われ、非常に好評であった。僕が手紙を届けるために青年を探しているというと、シャーレアンの医学者が、今後も連絡を取りたいので手紙を届けてほしいと依頼してきた。研究内容に高い感銘を受けたことが書かれており、これから交流を続け、ともに研究をしたいとあった。
魔法大学に問い合わせると青年は、故郷のドマによってからイシュガルドに戻るとのことだった。

失敗

秋に開始したので、冬になると、Smithペアの二人もクラスからジョブに昇格していた。Moonちゃんが詩人に、Sun君が竜騎士になっていた。しかし、マスターの指導を直接受けていたMoonちゃんの上達は目覚ましく、Sun君とは操作レベルには大きな差がついていた。Smithペアは、ストーリーの進捗は合わせて進めていたので、開放したIDを一緒に行っていた。僕も彼女もいけるときは、サポートしていたが、この時は、二人で別のコンテンツに入っていた。Moonちゃんは、レベルもストーリーに要求されるレベルより上回っていたし、スキルの理解も操作もうまかったので自分たちだけで行こうと提案した。

Sun君も大丈夫だろうと、CFに申請した。
IDに入り、挨拶したが、タンクとヒーラーからあいさつの返しはなかった。この世界にも少ないながら、ちょっと横暴な人がいる。
タンクが走り出し、2人で追いかける。1ボス戦でSun君がギミックにかかって、倒れた。ヒーラーからの蘇生はない。1ボス戦が終わった。ヒーラーから「戻ってきて」とチャットが来た。Sun君は、黙って素直に、スタート地点で生き返り、1ボス地点に戻ってきた。既に、他のメンバは、先に進んでいた。Sun君は、慌てて、スプリントして、パーティを追いかけた。2ボスでも、Sun君がギミックにかかって、倒れた。また、蘇生されず、2ボス戦が終わった。無言でいきなりだった。Sun君がパーティから除名された。
Moonちゃんは、何が起こったかわからず。「あれ、居ない。」というと、
「だって、へたくそだから。今補充かけるから。」と、ヒーラーが言った。タンクは黙ったままだったが、除名に賛成したのは確かだ。
Moonちゃんは、「私も出ます。」と言ってIDから出た。Sun君は、一緒にCF申請した場所にいた。Sun君は、「今日は、やめる」と言って、その場でログオフした。Moonちゃんは、一人残された。

クエスト5―ガレマルド

僕は、急ぎガレマルドに向かった。キャンプ・ブロークングラスのエオルゼアの派遣隊からイシュガルドの医療団は、テルティウム駅に向かったと聞いた。テルティウム駅は、元帝国兵を含む、難民が避難していた。彼らは、まだ、敵対していたエオルゼアの人間を信用しきってはいなかった。食料も十分でなく、寒さのため、体調が悪いものが多くいた。その中に、乳をのむ力が細い乳児がいた。母親はひどく心配したが、ガレマルド人でさえ、自分のことだけで精一杯で、母親に関心を示す余裕がなかった。青年は、乳児診ると、ある種のミネラルとビタミンが欠如していると気が付いた。母親の栄養も偏っているので無理もなかった。青年は、東方薬の粉末を与えた。毎日少し湯に溶かし与えれば十分だと伝えた。しかし、母親は、これを怪しみ飲ませることを躊躇した。ミネラルとビタミンを補給するだけなので、健康な人が飲んでも問題なかった。青年は、その粉末を少し取り、自分のコーヒーに溶かし飲んで見せた。それを見て、母親は、薬を乳児に与えることを決心した。数日で乳児の顔色はよくなり、食欲も出てきたようだった。僕が手紙を届けるために青年を探しているというと、母親は、お礼の手紙を届けてほしいと手紙を書いた。手紙の端には、乳児の小さな手形があった。イシュガルドの医療団は、まだ、残っていたが、青年は、招かれていた学会のため単身でオールド・シャーレアンに向かったと聞いた。

プレゼント

Moonちゃんは、マスターのアドバイスのSun君へのプレゼントを考えていた。裁縫師のレベルがちょっと上がったので、おしゃれ装備を作ることにした。頭、胴、手、脚、足の5か所の装備が全部作れそう。素材集めから始める。中間素材を作って、装備を完成する。この過程が一番楽しい時間だったかもしれない。“出来たー。” 全部HQ品で完成させることができた。おしゃれ装備は、戦闘に使用するわけでないので、性能の差は関係ない。そのため見た目だけならNQ品でもよかった。ただ違いがある。HQ品は、製作者の銘が入るのだ。装備に自分の名前が入る。そこが重要だった。プレゼントは完成したが、渡す口実がなかった。ハロウィーンの季節も終わり、クリスマスはまだ遠かった。プレイ時間55日だったのでゲーム開始50日記念とか適当につけた。

Moonちゃんは、Sun君と会うと、唐突に、「プレイ開始50日記念でプレゼントあげるよ」とおしゃれ衣装を渡した。Sun君は、びっくりしたが「ありがとう。僕は何も用意してないよ。」とお礼を言った。Moonちゃんは、「いいよ、いいよ。勝手に用意しただけだから。」と、渡せただけで満足だった。二人の距離が縮んだ感じがした。

ギャザクラ

Moonちゃんは、ギャザラー、クラフターも始めていた。マスターの影響だ。ある時、マスター=彼女からMoonちゃんにFCで使う素材集めの手伝いの依頼があった。Moonちゃんは、快く引き受け、二人で、素材集めに行った。素材の出現時間が限られているため、時間が過ぎると待ち時間が発生する。待ち時間に、Moonちゃんが彼女に、「マスターさんは、結婚されているんですか」と聞いた。

彼女は「結婚しているよ。子供も一人いる。私は、いいけどプライベートなこと、聞かれるの嫌がる人もいるので、注意してね。」
Moonちゃんは、「ごめんなさい。なんか気になって。」と答えつつ、心の中では、“家庭あるんだ。ダブル不倫・・・。”と驚いていた。
彼女が返す刀で「Moonちゃんは、Sun君とはどうなの?」
「パートナーと言われたんですが、その後、進展なくて・・・。」
と恋の相談を始めた。
「なんかプレゼントあげたら。クラフター始めたんだし、なんか作ってみるとか。私、サブマスと結構、プレゼント交換とかやってるよ。お互い、持ってないミニオン交換したり。」
「そうなんですか。マスターさんは、サブマスさんと仲いいんですね。」
「まあ、ながいつきあいだからねー。」
素材の出現時間になったので、素材堀に向かった。
Moonちゃんの中では、“ダブル不倫”の妄想だけが膨らんでいった。

クエスト4―アラガーナ

アラガーナにつくと、ここでも青年に治療を受けたという石工がいた。採石で栄えた町だった。彼は、採石で、崩れた石に足を挟まれたということだった。アラガーナには、医師がおらず、彼は、命が助かっても元のようには動けないだろうと思われていた。運よく巡回の青年に巡り合い。適切な骨折の治療がされた。今後の処置についても細かく指示が残されていた。僕が手紙を届けるために青年を探しているというと、彼は、手紙を書きたいが、文字もまともにかけないと、わずかにわかる、ありがとうという文字を書いた手紙と、価値がわからないが、採石の際に見つけた小さなきれいな石を封に納めた。青年はすでに、この地をたち、アラミガン・クォーター経由でガレマルドへ向かったと聞いた。

ID攻略

Smithペアが最初のIDに挑むことになった。
サポートは、僕たちが務めることになった。タンクが僕で、ヒーラーが彼女、Sun君が槍術士で、Moonちゃんが弓術士だ。僕は、サポートに徹し、DPS二人に自由に動いてもらった。ゆっくり進めて、マップの全部を開けた。
IDの達成感が響いたらしくMoonちゃんは、完全にこの世界にハマってしまった。逆にSun君は、当初の目的を忘れず、マスターの素性を探ろうとしていた。
おかしなことに、マスターとMoonちゃんは、仲良くなっていた。女性同士だからだろうか。ミイラ取りがミイラになった感じだ。
Sun君は、そんなMoonちゃんに対して、目的を忘れないように言うと「違うよ。油断させて情報引き出すんだよ」と答えた。

クエスト3-ラールガーズリーチ

ラールガーズリーチにつくと、青年が寄る予定の野戦病院に向かった。アラミゴもドマと同様に帝国から解放されていた。しかし解放戦争で、傷を負った兵士が多数残っていた。その中に、利き手を失った兵士がいた。既に傷はいえていたが、痛みが消えず、彼は、毎夜うなされていた。青年は、エオルゼアの痛み止めが彼には効いていないと考え。東方の痛み止め治療を行った。これが彼の体質にあっており、痛みが徐々に消えていった。青年は次の目的地、アラガーナヘ巡回医療に向かっていた。僕が手紙を届けるために青年を探しているというと、彼もお礼の手紙を送りたいと、なれない左手で筆をとり、震え、かすれ、曲がった字で、手紙を書いた。僕はその手紙を預かり、青年の後を追った。

FC潜入

FC募集記事に二人組の応募があったので、次の日の夜に、加入の面接を行うことになった。面接と言っても、FCの決まりや運営方針を説明する程度だ。
マスター=彼女から「マスターのHotです。よろしくお願いいたします。」続けて僕が「サブマスのJcです。よろしくお願いいたします。」とあいさつした。
「Sunです。よろしくお願いいたします。」「Moonです。よろしくお願いいたします。」とあいさつが返ってきた。彼女から一通りFCの説明が終わったので「何か質問ありますか?」と尋ねた。するとMoonちゃんが「あのー、お二人はどのようなご関係でしょうか?」と聞いてきた。僕たち二人とも予想外の問いに「・・・・」しばらく無言になった。僕から「パートナーです。ゲーム内では、相方とか、相棒とか。いろいろ呼び方ありますね。」
Moonちゃんは、何も答えず。心の中で“ぬけぬけと認めやがったよ。”と思っていた。
それより僕の方が疑問だった「二人のラストネームが同じSmithですが、どんなご関係ですか?」と聞いた。「兄弟ですか?」
Sun君が「いいえ、僕たちもパートナーです。」と答えた。
それを聞くと彼女から「男女トラブルを避けるため、パートナー関係は、公開しますので、ご了承お願いします。」
Sun君が「わかりました。」と答えた。
彼女は、「他にありますか?」と聞いて「今なくても。質問あれば、なんでも私たちに気楽に聞いてください。2週間の体験期間を設けますね。FCの雰囲気が合わなかったら、遠慮なく抜けてもらって大丈夫です。」
この日の面接は終わった。

Moonちゃんは、「私たち、パートナーだったんだね。」というと
Sun君は、「いやいや、怪しまれたのでとっさに。」
Moonちゃんは、それを聞いてない様子で「あの二人、ぬけぬけと不倫関係を認めたよ。」
と興奮気味に言った。