ID攻略

Smithペアが最初のIDに挑むことになった。
サポートは、僕たちが務めることになった。タンクが僕で、ヒーラーが彼女、Sun君が槍術士で、Moonちゃんが弓術士だ。僕は、サポートに徹し、DPS二人に自由に動いてもらった。ゆっくり進めて、マップの全部を開けた。
IDの達成感が響いたらしくMoonちゃんは、完全にこの世界にハマってしまった。逆にSun君は、当初の目的を忘れず、マスターの素性を探ろうとしていた。
おかしなことに、マスターとMoonちゃんは、仲良くなっていた。女性同士だからだろうか。ミイラ取りがミイラになった感じだ。
Sun君は、そんなMoonちゃんに対して、目的を忘れないように言うと「違うよ。油断させて情報引き出すんだよ」と答えた。

FC潜入

FC募集記事に二人組の応募があったので、次の日の夜に、加入の面接を行うことになった。面接と言っても、FCの決まりや運営方針を説明する程度だ。
マスター=彼女から「マスターのHotです。よろしくお願いいたします。」続けて僕が「サブマスのJcです。よろしくお願いいたします。」とあいさつした。
「Sunです。よろしくお願いいたします。」「Moonです。よろしくお願いいたします。」とあいさつが返ってきた。彼女から一通りFCの説明が終わったので「何か質問ありますか?」と尋ねた。するとMoonちゃんが「あのー、お二人はどのようなご関係でしょうか?」と聞いてきた。僕たち二人とも予想外の問いに「・・・・」しばらく無言になった。僕から「パートナーです。ゲーム内では、相方とか、相棒とか。いろいろ呼び方ありますね。」
Moonちゃんは、何も答えず。心の中で“ぬけぬけと認めやがったよ。”と思っていた。
それより僕の方が疑問だった「二人のラストネームが同じSmithですが、どんなご関係ですか?」と聞いた。「兄弟ですか?」
Sun君が「いいえ、僕たちもパートナーです。」と答えた。
それを聞くと彼女から「男女トラブルを避けるため、パートナー関係は、公開しますので、ご了承お願いします。」
Sun君が「わかりました。」と答えた。
彼女は、「他にありますか?」と聞いて「今なくても。質問あれば、なんでも私たちに気楽に聞いてください。2週間の体験期間を設けますね。FCの雰囲気が合わなかったら、遠慮なく抜けてもらって大丈夫です。」
この日の面接は終わった。

Moonちゃんは、「私たち、パートナーだったんだね。」というと
Sun君は、「いやいや、怪しまれたのでとっさに。」
Moonちゃんは、それを聞いてない様子で「あの二人、ぬけぬけと不倫関係を認めたよ。」
と興奮気味に言った。

新規作成

光士は、サービス開始を待つ間、VCでオンライン仲間に何となく、父親のことを曖昧に相談してみた。男性陣からは「浮気じゃないでしょ。」とあまり興味をひかなかった。女性の一人が食いついてきた。「これは、浮気の証拠を集めて、お母様へ報告必要です。懲らしめないと。」となぜか息巻いていた。
サービス開始当日に二人して、さっそくFF14に参加登録した。キャラを作る。潜入調査なので目立たない方がいいなと考えて、小さいララフェルの男女キャラにした。名前は、
男性キャラを、Sun Smith、女性化キャラをMoon Smithにした。完全に適当だ。もともとゲームをやる気がない。浮気調査が目的だ。月と太陽を名前にして。ラストネームは、システムからの出された候補をそのまま採用した。新しいシステムでもサーバの割り振りは同じだった。それを確かめ、父と同じサーバにキャラを作成した。

SunとMoonは、それぞれ、槍術士と弓術士を選択していた。同じグリダニアに降り立った。ゲームをまともにやる気もないため攻略情報も調べていない。キャラを作ったのだが、どこから手を付けてよいのかわからなかった。

サービス開始

光士は、アパートに戻ると、さっそく、父のやっているゲームの情報を調べだした。
自分がサブスクに入っている仮想テーマパークに来週、組込まれてリニューアルされることを知った。これなら簡単に父のやっている老舗のゲームに参加できそうだと思った。

サービス開始の日が来た。僕たちは、1か月ぶりにこの世界にきた。前回、ログアウトしたFCハウスに二人はいた。当たり前だが「FCハウスもそのままだね。」と感想を言った。風景もそのままだ。新しいシステムに移行したので仕様的には性能が向上している。性能を確かめるようにいつものコンテンツに二人で参加した

エタバン

YさんとSpark君のエタバンの式典が行われた。予想に反して、式に呼ばれたのは、僕と彼女だけだった。彼女と二人、彼らの式典の様子を見ていた。なんとも言えない気まずさを感じた。それが何かはっきりわからない。自分が逃げているものの正体を確かめる勇気がなかった。それでも、素直に二人を祝福することはできた。
二人になんで、出席者がFCメンバだけなのと聞くと、Yさんが「私は、撮影会のフレンドとか呼びたかったんですけど、Spark君が、家族だけが良いというので・・。」
Spark君は、「いやー、FCは、家族でしょ。こういうことは、まず、家族にちゃんと祝福してもらわないといけないかなと思って。いろんな人呼ぶと重みが薄まって、ただのイベントになっちゃう感じがして・・・。」
Yさんが、「しかたないな、そういうことなら。」と照れていた。つづけて、
「でもちゃんと、撮影会のメンバとは、2次会あるからね。スタジオハウスを所有しているフレが、ウェディング用に模様替えしてくれているので、そこで2次会兼、撮影会やります。」
Yさんはさらに、僕たちに「二人は2次会に来なくていいです。二人でどっか行ってください。あっ、ご祝儀はお願いします。衣装代にギルが必要なんです。家族ですよね?」
とおねだりされた。そのおねだりエモートどこで覚えたんだよ。
そのままエタバンの二人は、二人乗りマウントで2次会に向かった。僕たちは、それを見えなくなるまでその場で見送った。
彼女と二人で行きたい場所、あの丘の上かなと思って彼女をさそった。いいよと言われたのでPT組んでコスタ・デル・ソルにとんだ。
丘の上に二人並んで座り、黙って海を眺めていた。僕から誘ったんだから、なんか言わなきゃと考えるほど言葉が浮かんでこない。ただ「家族っていいね。」とだけ言った。彼女は「うん」とだけ返した。また黙ったまま、海を眺めた。

スチームパンク

Yさんがいつもより露出が多い衣装を着ていた。いつもそんな服着ないのにどうしたんですかと聞いたら、Spark君と撮影会です。と返ってきた。
スチームパンク風のハウスで撮影会があるそうだ。全く興味がないが、Yさんが踊りを含めたエモートを繰り出すので目が離せなかった。
Yさんが「どうです。この衣装」と聞いてきた。「いいんじゃないですか」と適当に答えた。
「だめですよ。私をねらっても。私、来月、Spark君とエタバンするんです。」
といった。
エタバン、エターナルバンド・・。そういうシステムがあることは知っていたが、身近な人で聞いたのは、この時が初めてだったのでびっくりした。
とりあえず「そーなんだ。おめでとう」といった。
「式には、先輩もHotさんも呼びますね」というと撮影会にむかった。
彼女からは、そんな要求されたことないな。どう思っているんだろう。

小休止

Yさんのロドスト(Loadstone)の日記にSpark君とのSSが良く出るようになった。女子キャラ同士でいろいろなコーディネートを楽しんでいるようだった。僕は、男子キャラなのでおしゃれが羨ましいなと感じる時がある。YさんにSpark君とのSSいいですねというと。
「そうでしょ。最近、撮影一緒にやっているんですよ。この前、ロドストの日記でみたスタジオを一緒に訪問しました。」
楽しそうでいいな。と感じた瞬間、僕たちはどうなんだ。と頭によぎった。過去を引きずっているのは僕の方では。
そんな僕をよそに、Yさんは、「Spark君は、大学院生でだそうですよ。隣の県在住なんですが、県境なので案外近所だということがわかりました。」
「専門が情報工学で、ソフトのこととかも詳しいですよ。」
Spark君のプライベートなことは、知らなかったので、結構オープンな人だったことに驚いた。
「先輩もどうですか、一緒にスタジオめぐり。」
「僕は、いいよ。おしゃれとか苦手だから。」
グループポーズいわゆるグルポでSSを取ることは知っているが、操作は、基本的なことしかわからない。きれいな画像が日記に上がっているが、どうやって撮っているんだろう。

寄り道

若葉二人もLv50を超えて、新生のコンテンツをほぼ終えていた。そのままストーリーを進めてもよかったのだが、4人で次何やろうかという話になった。
Yさんが「高速で進めてきたのでちょっと疲れました。少し休みたい。」といった。
Spark君も「そうですね、ちょっとストーリー整理したいので、小休止ですかね。」と同調した。
まだ先が長いから急いだほうがいいかなと僕は思ったが、彼女から、「サブストーリーも楽しいんだよ。一緒にやろうよ。」と提案があった。
僕は、彼女に追いつくためにメインストーリーばかりを追いかけて、メイン進捗に必須でないサブストーリーには、あまり触れてこなかった。彼女は前のキャラで、提案したサブストーリーをやったことがあったらしい。彼女は、「すごくいいんだよ。私ももう一度やりたい。」と力説し、みんなでサブストーリーを進めることにした。

顔合わせ

アウラさんの新規メンバを迎えたので4人で顔合わせをおこなった。アウラさんの名前はSparkさんだった。「Sparkです。よろしくお願いします。」と自己紹介した。一通り自己紹介が終わると、マスターの彼女から「3人は、リアル知り合いなので、Spark君もオープン気味で大丈夫だよ」と、いきなり男子であることばらしていた。「はぁ、男子であること隠してませんから・・・。」と戸惑い気味で返した。Yさんは、「そういう遊び方もあるんだ。楽しそう。」と、特に疑問に思っていないようでよかった。
4人体制になって、Light partyコンテンツは、身内で進められるようになった。Full partyコンテンツも半数は、身内なので若葉二人には、心強かったと思う。

FC設立

3人でFCを設立することした。設立のためには、もう一人必要だった。ボッチの僕には、彼女以外に頼めるような人もいなかった。彼女が、昔のフレンドと連絡を取って、署名協力者をお願いしてくれた。彼女のフレンドは、彼女が昔の姿で名前を変えて、ゲームを続けていることに驚いていたが、快くFC署名に協力してくれた。無事FCの設立ができた。
言葉通り、彼女がマスターになり、僕が立場上、サブマスターになった。ここで彼女から「メンバ募集します。3人じゃ、IDに行くにも不便なので。イケメンを最低1人入れます。」と宣言した。
なんで、「イケメン」なんだよと思ったので、彼女と二人だけの時に聞いたら「餌だよ餌。男子1人だといろいろ問題だろ。」と恫喝気味に言われた。何が問題だ?と納得いかなかった。
しかしなから、応募してきたのは、アウラの女子キャラだった。ストーリーの進捗もYさんよりちょっとだけ進でいるだけなので、ちょうどよかったので参加をお願いした。
FCの面接で、中身は、男性です。と告白した。まあ、女子キャラのおおくは、中身男性なのは、知っているので、問題ないよと答えた。その後、応募は全然ない。結局、イケメンキャラの加入はなかった。