クエスト4-エールポート

彼女は、エールポートの養父母には感謝していたが、家族という感覚はなかった。同じエールポートの食堂の息子が同じ年ごろだったので、その息子がラノシアの生活や文字などをおしえる役を買ってくれた。食堂の息子は、青年となり、食堂を継いでいる。彼女を未だ気にかけ支えたいと思っていたが、彼女は、そのことをかたくなに拒絶していた。弟を探すことが最優先だった。しかし、自立のための仕事もあり、生活だけで精いっぱいだった。イエロージャケットには、3国の犯罪情報も少ないながら入ってくるが、国際犯罪が主で行方不明者の情報はほとんど含まれていなかった。そんな中、密輸と海賊行為が大きな問題となっていた。とくにウルダハとの交易船が襲われる事件が多発していた。事件を調べるうちにある傾向がみられた。あるウルダハの豪商の商敵ばかりが襲われていた。冒険者の僕も一緒に調査に当たった。その豪商が裏組織とつながり、海賊を組織している可能性が出てきた。

クエスト3-生い立ち

彼女の生い立ちは、複雑だ。幼いころに両親が亡くなったので、両親のことは、彼女本人もはっきりしたことを覚えていない。南部森林で狩猟を行っていたミコッテ族の一家だったようだ、両親が亡くなった後、一族の親戚に姉弟であずけられた。姉弟支え合って生活していた。狩りの手伝いをする中で、短弓の扱いを覚えた。この頃、グリダニアの密猟への取り締まりが厳しくなり、一族の生活が苦しくなっていた。困った親族は、姉弟を東ザナラーンの人買いに売ってしまった。東ザナラーンで姉弟は引き離され、彼女は、ウルダハからロミンサに運ばれているところをイエロージャケットに摘発され、救助された。弟を探したかったが、南部森林の親戚の元に帰ることもできず、一時施設に預けられ、その後、子供のいないエールポートの商人に引き取られた。彼女は、ラノシアの市民となり、自分の自立と弟を探す機会を得るためにイエロージャケットに入隊した。

弟は、姉から引き離された後、東ザナラーンからウルダハの豪商の元、奴隷のような扱いで、下働きとなった。東ザナラーンで自分より幼い、ミコッテの少年と一緒になった。人買いは、幼い少年の面倒を弟に押し付けた。ちょうどよかったのかセットとして扱われ、豪商の下働きに売られた時も、少年と一緒だった。
弟は、頭の回転が速く、要領が良かった。このため、下働きの中でも頭角を現した。弟が頑張っていたのは、少年との生活を守るためもあった。また、地位が上がれば、逃げ出すチャンスが来るかもしれないと思ったからだ。そのまま、表の稼業で出世できると思ったが、それは、甘い考えだった。ある時、下働き仲間の一人が逃げ出した。逃げ出した仲間はすぐに捕まった。そこに、弟を含め歳が同じくらいの5人が集められた。逃げた仲間は、床に転がっていた。はじめ麻袋だと思ったが人だった。息もかすかな状態でピクリとも動かなかったが、確かに生きていた。5人の前に1本のナイフがおかれた。大人の一人が殺せと言った。5人は、顔御見合わせて、お互いできないと。後ずさった。大人は、「誰がやるんだ、早くしろ。出世のチャンスだぞ。」と。誰かがやらなければいけない。弟は、獲物の解体の経験があった。また、傷ついたまま生きる方が苦しいことも獲物を見て理解していた。弟は、ナイフを手にした。そして、そのまま、誰の顔も見ずに、なるべく苦しまないように、とどめを刺した。一線を越えてしまった。次の日から仕事が変わっていた、裏の仕事だ。少しはお金が使えるようになった。人殺しとなってしまったので逃げることも諦めた。ただ、少年との生活を守ることに徹した。弟の裏での評価もあがり、出世していった。しかし、少年には、裏の仕事はさせず、自分が何をしているかも教えなかった。弟には捨てられない願いがあった。「もう一度、姉さんに会いたい」だ。神様という物を知っていれば、たぶんそういう物に対する願いだったのだろう。しかし、弟は、生まれてからそのような対象は知らない。ただ、その願いがかなえば、すべてを終わりにしてもよいと思っていた。

職場にて4-アルゴリズム

僕の仕事がうまく行っていないことは、彼女にも噂で伝わり、あの朝のことは、彼女から特に何も言われなかった。
また、突貫工事がうまくいくわけもなく、納めた製品の動きに顧客からダメ出しが来た。行き詰って、本当はだめなのだが、YさんがSpark君の専門分野に近いというのでちょっと相談してみた。Spark君は、「古いアルゴリズムですね」といって、「これが良いですよ、枯れてますし」と、オープンなライブラリを紹介してくれた。「商用利用も可能ですから組込んでも問題ないです。一応ライセンス貼っておきますね。」と続けた。
僕は、Spark君をこの人完璧だと思った。
早速修正に入った。彼女には、心配かけたくなかったので何も言わなかった。実際は、そういう関係なのかも自信がなかったのが本音だと思う。しかし、彼女は、Spark君から状況を聞いていて、僕に「戦闘飯大量に作って待ってるから、早く戻ってこい」とメッセージを送ってきた。
Yさんとソフトを完成させて、再納品したところ顧客から無事OKが出た。
この後、YさんとSpark君が今までより親密になったと感じたのは気のせいだったのだろうか。

クエスト2-少年

彼女は、無傷だった。少年も少し痩せていたが、怪我はなさそうだった。彼女はことの顛末を上司に報告した。素直に降伏して捕まったが、拘束されただけでなにもされておらず、箱に詰められたと報告した。目隠しされていたので、賊の様子は分からなかった。
少年は、同族の兄と暮らしており、兄の仕事を手伝っていたと話した。少年の素性がわからなかったので、半監禁された状態でイエロージャケットに留め置かれていた。
無傷で解放された理由がわからなかったが、彼女も報告を一通り終えると休みを与えられた。自室に戻りジャケットを脱ぐとき、ポケットに違和感があった。ポケットには腕輪と手紙が入っていた。
彼女は腕輪を見て驚き、自分の腕をみた。自分の腕輪はついている。自分と同じ腕輪がポケットから出てきたのだ。自分と同じ腕輪・・・。それは、生き別れた弟の物でしかなかった。探していた弟の物。

腕輪とともにあった手紙には、こうあった「少年は、海賊に誘拐されていた被害者なので保護してほしい。」とだけ書かれていた。
弟の腕輪とともにあったので、弟が書いた可能性も考えられた。彼女は、居てもたってもいられず、次の日、出勤するとすぐに少年を訪ねた。少年に、腕輪を見せて、何かわかるか聞いた。少年は、「兄ちゃんがいつもつけていた腕輪だよ。」といった。そして「兄ちゃんはどこ?」とも聞いた。少年の生活についても聞いた。
掃除、洗濯、炊事の手伝いを主にやっており、荷物を運ぶ仕事もあったとのことだった。犯罪に直接結びつくことは、確認できなかった。船が近くにあったようだが住んでいた場所は分からなかった。兄の仕事についても聞いたが、船乗りである以上のことは、よくわからなかった。少年は、犯罪者と認められないため十代前半が入れる施設へ、移動する決定がされた。手紙が弟だとしたらこの子は、自分が保護しなければと感じていた。しかし、仕事上、家を空けることが多く、一人だけで置いておく訳にはいかなかった。頼れるのは、食堂を営む青年しかいなかった。しかし彼の希望にこたえられないまま頼ことはしたくなかった。
最後は、他につてもなかったので、青年に相談することにした。ちょうど人でも足りないので、生活と仕事の世話をしてくれることになった。

職場にて3-相談

Yさんから仕事の相談が来た。今回の仕様の一部分のアルゴリズム難しくて、作りこみが間に合っていないと。僕もちゃんと確認できていなかったので、その部分を確認した。周りの同僚や先輩、上司に相談したが、顧客独自の仕様のようでよくわからなかった。しかも顧客に問合せても、実は、前任者が辞めてしまい、よくわからないので、前世代の機種と同じにしてとしか回答がなかった。前世代はうちで対応していなかった。そのためYさんも一人で悩んでいたようだ。とりあえず、今から頑張ろうと二人で、始めたが、あっという間に時間が過ぎ、終電が過ぎでも完成できなかった。Yさんも変なスイッチが入ってしましい。黙々とコードを書き進めている。先輩の僕が成長の機会を止めるわけにもいかないと、一緒に徹夜することにした。朝には、何とか完成した。眠さのピークも過ぎて、二人で休憩室で朝食をとることにした。僕も変なテンションになってし、自販機のパンをかじりなからYさんと笑いあっていた。そこに彼女がはいってきた。朝のコーヒーを買うためだ。妙なテンションの二人をみて、ただ、おはようと言って出て行った。変なテンションのまま、Yさんが「彼女とはどうなんですか?」と聞いてきた。僕は、変なテンションから急に素に戻って、どうなんだろうと黙ってしまった。Yさんは、変なテンションのまま「だめですよ、ほっといちゃ。他の人に取られちゃいますよ。」といった。こいつ飲んだら面倒な奴だなと思ったと同時に、素のまま、二人の関係について考えていた。

クエスト1-サブストーリー開始

リムサロミンサでのイエロージャケット救出作戦からこのクエストは始まる。ソムヌス香の密輸の摘発に、失敗し、イエロージャケットの隊員1名が海賊に拉致されたという。この救出作戦に冒険者の僕が呼ばれた。

事件の概要をつかむため、摘発に同行したイエロージャケットの隊員に聞き込みを行った。
拉致されたのは、ミコッテ ムーンキーパーの女性だった。ロミンサのイエロージャケットには珍しい短弓使いだった。摘発情報が洩れ、摘発に向かった隊員が逆に囲まれて、攻撃されそうになった。そこに後方支援の彼女が助けに入った。しかし、思ったより賊が多く、仲間の隊員を逃がした時には、彼女は賊に囲まれていた。

次に海賊の行方を追うために西ラノシア エールポートへ向かった。そこに僕たちを待つ一人の青年がいた。近くで食堂を営んでいる青年だった。拉致された隊員をすごく心配している様子で、協力したいと申し出てきた。目撃情報を集める聞き込みの協力を求めた。
聞き込みを進めると、港の端に、昨夜にはなかった見慣れぬ木箱が二つ置かれており、中からごそごそ音がするという情報が入った。
箱を開けると一つには、拉致された隊員が縛られて入っており、もう一つには、ミコッテ族の少年が縛られて入っていた。
青年は、彼女の様子を見て慌てて、近づき、彼女を拘束している縄を解いた。そして彼女が立ち上がるのを助けるために手を伸ばした。彼女はその手を払い、自分で立ち上がった。他のイエロージャケットにより少年の縄も解かれた。ちょっと離れた場所で青年が悲しそうに彼女を見ていた。

寄り道

若葉二人もLv50を超えて、新生のコンテンツをほぼ終えていた。そのままストーリーを進めてもよかったのだが、4人で次何やろうかという話になった。
Yさんが「高速で進めてきたのでちょっと疲れました。少し休みたい。」といった。
Spark君も「そうですね、ちょっとストーリー整理したいので、小休止ですかね。」と同調した。
まだ先が長いから急いだほうがいいかなと僕は思ったが、彼女から、「サブストーリーも楽しいんだよ。一緒にやろうよ。」と提案があった。
僕は、彼女に追いつくためにメインストーリーばかりを追いかけて、メイン進捗に必須でないサブストーリーには、あまり触れてこなかった。彼女は前のキャラで、提案したサブストーリーをやったことがあったらしい。彼女は、「すごくいいんだよ。私ももう一度やりたい。」と力説し、みんなでサブストーリーを進めることにした。

顔合わせ

アウラさんの新規メンバを迎えたので4人で顔合わせをおこなった。アウラさんの名前はSparkさんだった。「Sparkです。よろしくお願いします。」と自己紹介した。一通り自己紹介が終わると、マスターの彼女から「3人は、リアル知り合いなので、Spark君もオープン気味で大丈夫だよ」と、いきなり男子であることばらしていた。「はぁ、男子であること隠してませんから・・・。」と戸惑い気味で返した。Yさんは、「そういう遊び方もあるんだ。楽しそう。」と、特に疑問に思っていないようでよかった。
4人体制になって、Light partyコンテンツは、身内で進められるようになった。Full partyコンテンツも半数は、身内なので若葉二人には、心強かったと思う。

FC設立

3人でFCを設立することした。設立のためには、もう一人必要だった。ボッチの僕には、彼女以外に頼めるような人もいなかった。彼女が、昔のフレンドと連絡を取って、署名協力者をお願いしてくれた。彼女のフレンドは、彼女が昔の姿で名前を変えて、ゲームを続けていることに驚いていたが、快くFC署名に協力してくれた。無事FCの設立ができた。
言葉通り、彼女がマスターになり、僕が立場上、サブマスターになった。ここで彼女から「メンバ募集します。3人じゃ、IDに行くにも不便なので。イケメンを最低1人入れます。」と宣言した。
なんで、「イケメン」なんだよと思ったので、彼女と二人だけの時に聞いたら「餌だよ餌。男子1人だといろいろ問題だろ。」と恫喝気味に言われた。何が問題だ?と納得いかなかった。
しかしなから、応募してきたのは、アウラの女子キャラだった。ストーリーの進捗もYさんよりちょっとだけ進でいるだけなので、ちょうどよかったので参加をお願いした。
FCの面接で、中身は、男性です。と告白した。まあ、女子キャラのおおくは、中身男性なのは、知っているので、問題ないよと答えた。その後、応募は全然ない。結局、イケメンキャラの加入はなかった。

幻想

次の日、彼女の見た目が変わっていた。というより以前の姿に戻っていた。
ララフェルからエレゼンフォレスターに変わっていた。びっくりして開口一番「どうしたの」ときいた。
「んっ。気分。だってララフェルじゃミコッテの女子力と勝負にならないじゃん。思い出バイアスをフル活用だよ。」と返ってきた。“何の勝負だよ。”と思ったが、彼女が過去のことを吹っ切ったんだなと思うと、ちょっと嬉しかった。
今日は、Yさんの初めてのID(インスタンスダンジョン)に付き合う予定だ。Yさんも彼女を見て、最初、「誰?」となっていたが、名前見て、「これが噂の幻想なんですねー。すごいなこのゲーム。」と感心していた。
僕がタンク、彼女がヒーラー、Yさんが巴術士でCF(コンテンツファインダー)に申請。カンスト(カウンターストップ=上限値に達した状態、ここの場合ジョブレベルを指す)組が二人いれば、最初のIDは、サクサクだった。
IDの後、Yさんが「ありがとうござます。助かりました。ドキドキですね。」と興奮気味に話し始めた。「今後も3人で進められるとうれしいな。FC(フリーカンパニー)だっけ、ギルド立ち上げましょうよ。」と興奮ついでに提案してきた。
僕は当然戸惑っていたが、彼女はちょっと考えて「いいねー。そうしよう。FC経験から私がマスターね。」といった。
彼女が自分からマスターに立候補したのは、びっくりした。僕にさせなかったのは、やっぱり、マスターの事、引きずっているのかな、と思った。