姫ちゃん宣言

ヒーラーの野良練習も重ねて、ヒーラーとしての自信もついた。準備した姫ちゃん装備に着替える。完璧だ。準備も万端で、FCのみんながいそうな時間にFCハウスに向かった。こんな時に限って誰もいない。きっとすぐに来る。なかなか来ないな・・・。待つこと30分。さすがにいらいらは最高潮。そこにマスターが来た。マスターは、こんばんはとあいさつして素通りしようとする。そこを引き留めて、さっそく、新しい装備を見せた。
「マスター、見て下さい。何か変わってませんか?」
ちょっと考えて、
「ヒーラー始めたんですね、では。」と行こうとする。
「ジョブじゃなくてー」
またちょっと考えて
「すみません、わかりません。」
「衣装をみてくださいよ。ピュアホワイトの染色がいいでしょ。」
「確かにプリムさんにしては、おしゃれですね。では」と行こうとする。
「ちょっと待ってください。ヒントあげます。白魔道士でおしゃれしてきたということは?」
「ホ、ホワイトデー?」
「今、何月だと思っているんですか、違います。姫ちゃんです。私、姫ちゃんになりました。」
と宣言した。
「姫ちゃん????」マスターは戸惑いを隠せないでいる。

装備集め

次は見た目だ。白魔道士は、白が似合う。胴は最重要だが露出が多いのは却下。コート系をチョイス。頭は、かわいい帽子かオーナメントがいいかな。脚は、ちょっと出してみるか。足も、かわいいやつ、短いブーツかな。手は、ネイルの入手は難しいか、戦闘しかやってないからな・・・。かわいい手袋探すか。
アクセサリーも重要。耳は重要だね。かわいいやつかわいいやつ。そろそろ面倒になってきた、首、腕、指は、とりあえずいいかな。なくても。非表示にしちゃおう。
装備の候補が決まったので、さっそく素材をリストアップする。結構時間かかりそうだな・・・。素材は、一部買うか。
素材も揃い、製作に入った。クラフター全ジョブカンストの私には、簡単な作業だ。
多分、自作とかいう時点で、間違っていそう、作ってもらうか買ってもらうんじゃ・・・・・だって、姫ちゃんなんて知らないもん。
試着する。色は決めていた、ピュアホワイト一択だ。ピュアホワイトカララントは、リテイナーの宝箱で出てきたものを販売用に在庫しているのでたくさん持っていた。
練習もばっちり、見た目も完璧。デビューするか。
ふと、姫ちゃんにふさわしい武器がないことに気が付いた。これも、かわいいやつがいがいいな。光る武器は、時間がかかる。トークンの交換もあるが、トークンを稼ぐのに時間がかる。製作しようかな。と探しているとドロップ品にいいものがあった。取りに行こう。自分で。
多分、自分独りで取りに行く時点で、間違っているのかな、手伝ってもらうんじゃ・・・・だって、姫ちゃんなんて知らないもん。

白魔道士

1人になって、考え込んだ。「もっとわがままに」と言われても、どうしていいかわからない。私は、人をサポートするのが好きだ。その人の目標が達成できたら、私もうれしい。私の目標・・・。考えたことないな。難しい戦闘に挑んでみようかな。ジョブのメインは、忍者だけど、ルレ周りでは、即シャキのタンクばかりやっていた。サポートが好きなので性格的には、ヒーラーがいいかもしれない。
もともと、私は、幻術士でこの世界に来た。だからヒーラーは、白魔道士しかカンストしていない。他のヒーラージョブは開いてもいない。失踪した彼と出会ってからは、ヒーラーもあまりやらなくなったので、白魔道士のレベリングだけやった。今では、どう立ち回って良いのかイメージできないのでIDにも出せない。
見た目についてもなんか言われたな。白魔道士とミラプリで画像検索してみた。何この白い衣装。お姫様みたい。姫ちゃん?そういえば、そんなプレイスタイルがあることを聞いたことがある。これまで、人のために頑張ってきたんだから、少しぐらいわがままになってもいいよね。
ここで、「もっとわがまま」=「姫ちゃんになる」という謎の関連付けが行われた。
「よし、白魔道士で姫ちゃんになろう」と私の新たな目標ができた。
早速、白魔道士練習しなきゃ、まずは、ソロ練だ。コンサポを回ろう。
事前練習とか、多分、なんか違う感じがするんだけど、未予習、ぶっつけのような・・・・だって、姫ちゃんなんて知らないもん。

納品製作

今日も私は、GC納品物を確認して、素材を集めた後、FCハウスの庭で製作を始めた。
そこにフレンドがきた。彼は、FCのマスターだ。
「毎日忙しそうだね。毎日、そんなに作るものある?」
私は、“えっ”となって、もしかしてやってるの私だけ。確かに金策にはなるけど・・・。いやいやいや、私、億万長者だし。
「マスターは、GC納品やってないんですか。」
「たまに、ドロップした装備とか納めるくらいかな。普通にやってても、なんかクレジット増えてるし、気合い入れてやらなくても大丈夫だよ。」
「そ・・・・」“そ、れ、は、私、が、増やしているんです。”という言葉を飲み込み。
「そ・・・そうですね。ギルもあるし、なんか違うことやってみようかな。誰からも感謝されてないみたいだし。」最後に嫌味を入れたんだけど。
「そうだよ。プリムさんは、もっとわがままになったほうがいいんだよ。それでちょうどいいくらいだと思うよ、僕は。おしゃれとかにもっと時間かけた方がいいんじゃないかな。」
服装について指摘されたと思い、イラっと来て私は、「それって、見た目に気を使っていないということですか?」と返す。
「いや、そういうことじゃなくて、もっと自分のために時間を使うというか。」
私が黙っていると
「なんか、怒らせた?あっ、そういえば、FCメンバとID行く約束があったんだ。じゃ、また。」
と消えていった。

プリム

私の名前は、 Prim Rose。みんなからは、プリムと呼ばれている。失踪した彼と作ったCWLS Knights and Primroseを解散してからはしばらくソロで活動していたが、今は、フレンドのFCに加入させてもらっている。新参者なのでFCでは特に役割は与えられていない。しかし、以前の癖が抜けず、畑の手入れ、チョコボの世話、エーテリアルホイールの素材集めと作成、カンパニークレジットを稼ぐための素材集め、製作と納品に精を出している。毎日が、充実していると言えば充実している。
あいつの、あの一言がなければ。