はぐれ竜と夫婦の交流は、その後も続いた。ある日、迷信が真実となった。子供を授かったのだ。その知らせを聞いた、はぐれ竜も子供に会うことが楽しみであった。ほどなくして子供が生まれた。竜からしたら小さくか弱いその存在に畏れおののいた。
遠くから眺めることしかできなかった。もう少し大きくなったら触れることができると次の再会を楽しみにしていた。
その再開の日に悲劇が起こった。夫婦が盗賊に襲われたのだ。人里離れた僻地に金目の物などない、盗賊もほとんどいないこの場所にただ通りがかったたちがわる連中に目をつけられてしまった。
竜は遠くに、夫婦が赤ん坊をかばうように守っているところを襲われる様子を目にした。
竜は怒り狂い、盗賊を残らず八つ裂きにしてしまった。その静寂の中で赤ん坊の泣き声だけが響いていた。竜は、残された赤ん坊を助けることを考えた。
人を呼ぶことにした。警備の兵士に自分を追わせて赤ん坊を発見させたのであった。
はぐれ竜は、竜の世界にも戻れず、人へも絶望し、一人孤独に十数年間過ごしてきた。この出会いで初めて娘と直にふれあった。他者との交流は、あの事件以来となる。
人にとって竜は恐ろしい物、娘にとっては、人でさえ恐ろしいものだった、竜は未知の物だった。竜を触れ、抱き合った。竜は、暖かかった。少しだけ彼女の心を閉ざしている氷が溶けたように思われた。
それから、はぐれ竜は、母親との交流の話、母親の生い立ちの話を始めた。母親は、ワインポートの出身で、その後、祖母は、コスタ・デルソルで仕事をしていると教えてくれた。母親は、東ラノシア出身のヒューラン ミッドランダーだったことがわかった。 はぐれ竜とは、またの再会を約束して別れ、僕たちは、イシュガルドに戻った。