ライバル

電車に揺られ海に向かう。二人並んで席についた。窓からの日差しがまぶしかった。
海沿いの公園を散策し、海が見える高台の公園についた。そこにあるベンチに座った。
坂本さんは、荷物からポットとサンドイッチを出した。彼女は、カップにコーヒーを注いで、僕に手渡した。その後サンドイッチを差し出した。サンドイッチは彼女の手作りだった。
「手作りなんてすごいですね」と僕は本当に感動していった。
「おいしいかわかりませんが、手作りっていいですよね。」
一口食べて「おいしいですよ。本当に」本当においしいと思った。
優しい風が吹いていた。海を眺めながらサンドイッチをほおばる。
坂本さんが話し出した。
「プレゼントの話したじゃないですか。彼からさらに帽子と服と靴とアクセサリー一式をもらっちゃったんです。しかも全部手作りなんですよ。全部、彼の名前が入っているんです。」
それを聞いて、僕は、ものすごく驚き、焦った。
「受け取ったんですか。」
全部、手づくりで自分のブランド銘も入っている。ものすごく多才でお金もちというイメージが出来上がった。
「チャラ男は嫌いと言っていたじゃないですか。」と抗議する。
「チャラチャラしてるだけじゃなかったんですよ。結構、しっかりしてるというか。」
僕は、いたたまれなくなったが、何も言えなかった。
坂本さんは「でも、正直よくわからないんです。現実的じゃないというか。」
そりゃ、そこまでできる人は、現実離れしていると感じるのは当然だ。僕には現実感があるというそこしか突破口がなかった。
「坂本さん、僕と付き合ってください。」ストレートに告白してしまった。
彼女は、本当に困った顔をして、
「自分の気持ちを確かめに来ました。今日。ごめんなさい。試すようなことして。」
と言ったきり黙ってしまった。

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