進路

3年なので進路を決めないといけない。普通科なので半数以上が大学への進学希望だ。僕は何でも平均程度の人間だった。だから目立つことがない。良いことでも悪いことでも。
夏休みに模試があった。彼女もいた。彼女の志望は知らなかった。ろくに話したことなかったから。模試がおわっても手ごたえは感じなかった。空回りしていた。会場から出るとき、雨が降りだしていた。昼はすごく晴れていたのに、夕方近くになり急に暗くなり降り出した。僕はカバンの中に傘があった。それを取り出し、外に出ようとすると彼女が近くて、空を恨めしそうに眺めていた。僕は彼女に声をかけた。
「吉川さん、一緒に帰らない」と。彼女は笑顔になってうなずく。
彼女は話好きなのか、模試できたとか何処受けるのとか、マドンナのこととかいろいろしゃべってきた。僕はドキドキするだけで、聞かれたことに短く答えるだけだった。

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