立候補

もう一度山田君に相談しよう。昼休み、山田君が一人なのを確認して、前に座った。

「なんですか。」目も合わせずにぶっきらぼうにきいてきた。
「ルカ君にはなんか応援されたよ。」
「あっちの話ならカコにお願いします。」ものすごく冷たい。
「いや、男性の気持ちだから、山田君に聞こうかなと思って。ルカ君に許してもらったんだけど、カコちゃんを傷つけたら許さないって言われたよ。」
「僕にもわかりませんよ。一人の女性を争ったことないです。そっと諦めることならありますよ。というか諦めたことしかないです。」
「なんで諦めるの。」
「自信がないんですよ。自分に。自分なんかという感じですかね。あと、どうしていいかわかんないし。」
童顔でかわいい顔してるのに。それを活かせばいいんじゃないと思うけど。
「でも、カコちゃんは。だいぶ違うと思うけど」
「カコは、あっちの世界では、何というか、自信が持てるというか。うまく立ち回れるというか。」
「そうなんだ、同じ人間なのにね。不思議だね。」
「そういう分析要らないですから。多分、僕には、そこまでの対象の出会いがなかっただけですよ。元カレとはどうなったんですか。」
「どうにもなってないよ。放置してる。」
「じゃ、僕が立候補しますよ。放置してるならいいでしょ。」
「なになに、どういうこと。」
「恋愛相談してたら恋愛に発展するってよくある話でしょ。」
「・・・。本当に山田君だよね。」
「僕には、そこまでの対象の出会いがなかっただけって言ったじゃないですか。今、出会いました。」
「ごめん、ちょっと整理するから。」
と言ってその場から逃げた。

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