僕が置かれている状況が、よくわからなかったけど、レクエさんが吉川さんなら、チョコのお返しをしなきゃと思った。季節は全然違かった。本来、リアルで返すべきだろうけど、まず、なんで僕に吉川さんのキャラを見つけされるようなことをしたのか聞きたかった。きっかけになればとこの世界で渡すことにした。
新式自作派の僕は、クラフターも強い装備だったので現在作れないお菓子はなかった。
一番レベルの高いチョコっぽい物、レモンカードザッハトルテを作ることにした。僕には簡単な作業だが、素材集めからだと結構面倒だった。面倒だからこそ価値があると思った。その日は、FCのルレの誘いは全部、断った。1日で作ることができた。レクエさんに連絡を取る。
投稿者「ffeksiv」のアーカイブ
疑念
マドンナ、山下さんは、僕が始めた後にすぐこのゲームを始めたみたいだ。吉川さんは、僕の引退の日記を見てこのゲームに入ってきたのかな。
山下さんは、FCマスターで僕をサブマスにして、この世界に引き留めようとしている。吉川さんは、初心者としてフレンドになった。“私を覚えていますか”という名前で。
二人はお互いの存在を知っているのか、知らないのかわからない。僕のSNSを起点としているなら、お互いに気が付いていてもおかしくないと思えた。
吉川さんは、僕に気が付いてほしいのだろうか。山下さんもわざわざ資産目当てにコンタクトをしてきたとは思えなかった。
設立日
「このFCには、設立時からいるの。」
「いるけど、このFCは、できたばっかりだよ。マスターが急にFC作るからって、フレに声かけて。」
FCの設立日を確認したら僕の引退日記を書いた日だった。
「急だったから、FCに入っていなかった二人とマスターとマスターのサブキャラで作ったんだよ。マスターのサブキャラは、設立後、抜けさせたみたい。同時にINできないからね。」
「マスターってどんな人」と僕が聞く。
「うーん、ずっとソロプレーヤーだった。初心者に親切で、私みたいなフレはたくさんいるみたい。」
「何年くらいやってるかわかる。」
「私が、始めたのが半年前、その時に知り合って、既にストーリー終わってたから、2年はやってるんじゃないかな。正確には分からない。」
始めた時期は、僕とそんなに変わらないかもしれないと感じた。僕の日記を見て始めたのかな。なんで。
支援
FCメンバは、マスターも含めて他に入っていなかった。二人で行くことにした。
「僕がヒーラーやりますね。」とパーティを組む。
FCメンバは、DPSだった。IDに申請する。CFで二人がマッチングして攻略開始した。まあ、NPCと違って道中は、サクサク進んだ。問題の1ボスを開始。隕石の攻撃には、岩に隠れることは知っているようだった。その後の範囲攻撃の回避が遅くて、倒れていたようだ。FCメンバが安置から逆に逃げるので、仕方なく、救出で引っ張った。もう一度同じ攻撃が来るので、HPを満タンにして備えた。次はうまく回避ができた。1ボスを倒すとその後は、問題なかった。
「ありがとうございます。」とお礼を言われたが、大したことしていない。なんて返していいかわからず。「クリアおめでとう」とだけ返した。あと、聞きたいことがあった。
不安
僕は、今のゆるふわの生活が気に入っていた。前のような何かに追われるような生活に疲れていたんだと思う。心は、解放されて落ち着いているが、マスターとレクエさんの行動の意味が解らず、不安はあった。マドンナの名前はなんだっけ、印象には残っているが興味がなかったので、すぐに思い出せない。山下さんだっけ。山下さんが僕にアクセスしてきた理由が全く分からなかった。しかも、マスターになっているし、プレイ歴も長かった。一緒にIDに行った感じでも、下手なプレイヤーではなかった。うまい方なんじゃないかな。
そんなこと考えているときにFCメンバから相談が来た。
“80IDの1つがクリアできない“だった。
「コンテンツサポーターで行ってるんですが、1ボスが抜けられません。ヘルプお願いします。」
画像
マドンナのSNSを見る。いつ撮ったのかわからないけど一緒に行ったIDの様子やFCにたたずむ僕の後ろに立つマスターの画像があった。
マドンナは僕と知って、日記にアクセスしてきたのかな。なんで、マドンナが・・・。
じゃ、レクエさんも僕のキャラを僕と分かってるんだよね。じゃあ、“私を覚えていますか”というメッセージはやはり僕宛なのか。
マドンナと彼女もお互いを認識しているのかな。今まで二人が接触してるのは見たことないな。マスターは、僕に引退することをやめて、サブマスになってほしいと言ってきた。レクエさんは、フレになった以外何も言ってこない。
リンク
高校時代の男友達から突然連絡が入った。
「お前、マドンナとどんな関係なの。いま仲良くしてるみたいだけど。」
何の話か全く分からなかった。
「マドンナのSNSにお前とのゲーム内の画像がいっぱい上がってるよ。」
言われていることが全然分からない。
「とりあえず、ココ見てみろよ」
とマドンナのSNSを教えてもらう。
SNSを確認すると僕のキャラとマスターの画像があった。僕は、男友達に確認する。
「なんでこのキャラが僕だってわかったんだよ。本名出してないだろ。」
「だってお前、ゲームの日記を自分のSNSにリンクしてたじゃん。自己紹介してるよね。」
あっ、初めて書いた1個目の日記だ。そういえば、自分のSNSにその日記をアップしたかもしれない。
確認
“私を覚えていますか”というメッセージを確認する勇気は僕にはなかった。だがそのまま離れることもできなかったので、1か月間の課金をした。残留延長を決めた。
レクエさんとの関係は良好だった。僕の事を認識しているのかわからなかったけど、ルレに一緒に行ったり、ストーリーの話をしたりしていた。彼女がいないときは、FCメンバからよくコンテンツにさそわれた。マスターとは、他のFCメンバがいけない高レベルのコンテンツに行っていた。ある時、マスターとのコンテンツの後、あの時の要請の確認をされた。「サブマスの件、考えてもらえたかな。」だった。
僕には、組織をまとめた経験も、運営の経験もなかった。だから断ろうと思って、「僕には、難しいかな、戦闘しかやってこなかったから」と言った。
「大丈夫だよ。戦闘面でいろいろやってもらえているだけでも、みんな助かってるから。私も含めて。」と返された。どうしよう。
名前
僕はゲームに残るかやめるかを考えていた。ふと、疑問が湧いた。以前から僕はレクエさんの名前が気になっていた。Me Recuerdas、メ・レクエルダスという名前。
ミコッテ サンシーカーだから氏族名のメがファミリーネームだと思っていた。だけど初心者が種族の命名規則なんて知っているのかな。僕は知らなかった。だから蜃気楼がかっこいいと思って適当に名前を付けた。
インターネットで彼女の名前を検索する。スペイン語っぽいみたい。翻訳してみる。
“私を覚えていますか”
だった。どういうことなんだろう。偶然。それとも、誰かに対するメッセージ。僕に対してなのか。彼女は、僕のことを認識しているのだろうか。
成長
レクエさんとは、新しく解放したコンテンツだけでなく、レべルレなど各種ルレにも一緒に行くようになっていた。クラスからジョブに弓術士から詩人になっていた。装備更新が必要な時は、製作装備を作ってあげた。レクエさんだからそうしようと思ったのだと思う。それに友達の成長を見るのはすごく楽しかった。その手伝いができることは自分の楽しみにもなっていた。だから、他のFCメンバに対しても同じように接していた。でもレクエさんは、やはり特別だった。昔の思い出があるから。あの時できなかったこと、言えなかったこと。いま自信があるかというとそうじゃないけど、あの時よりましだ。僕も成長したのかな。
そうこうしていると僕のプレイ期間の残りが10日ほどになっていた。このまま消えるか、ここに残るか決めないといけないと思った。