クエスト9-手紙

数日後、レター・モーグリが1通の手紙を彼女に届けた。
彼女の弟からだった。亡くなる前に投函したものだろう。
「姉さんごめんなさい。つらい思いをさせて。僕の手は、悪に染まり、後戻りできないところまで来てしまいました。捕まれば、姉さんに迷惑がかかってしまう。せめて、姉さんの手で、始末をつけてもらえるのが救いです。それが、僕の最後の望みです。この手紙が届くころには、その願いがかなっているでしょう。
捕まったイエロージャケットを見て、すぐに姉さんだとわかりました。腕輪をみて確信しました。姉さんに会いたいという願いがかない、やっと終わりにする時が来たんだと思いました。この時、ぼんやりと最後の計画が浮かび、実行することにしました。しかし、弟のことだけが気がかりで、姉さんに託すことにしました。
最後のお願いです。一緒に開放した少年は、僕の弟です。姉さんと別れた後、監禁された場所で出会い、二人で生きてきました。僕の家族の今後をよろしくお願いします。姉さんには、ずっと苦労ばかり掛けて本当にごめんなさい。」
読み終えると手紙をそっと、テーブルに置いた。静かに音もなく涙がこぼれ落ちた。青年は、テーブルの上におかれた彼女の手に自分の手をそっと重ねた。彼女は、その手をぎゅっと握り返した。青年から差し出された手を握り返したのは初めてだったかもしれない。青年は反対の手で少年の手を取った。少年も反対の手で、彼女の手を取った。彼女は小さい声でごめんねと言った。青年は、返した。一言だけ、「家族じゃないか。」と。
「家族」という言葉が僕の心に響き、いつまでも静かに残り続けた。

リヴァイアサン討滅戦とクエスト8-その後

討滅戦は、8人コンテンツだ。僕たち4人では、人数が足りない。初見未予習の募集で初めてイベントを建てた。勇者4人が参加してくれた。
決戦の日が来た。台船の上で戦う。特殊なギミックが用意されており、バリアを張るタイミングがわからず、全滅を繰り返した。後半には、台船を囲む柵が取り払われ、船から落ちる危険もあった。倒れても倒れても、ヒーラー二人が何度も起こしてくれた。ついにSpark君のLB(リミットブレーク)でリヴァイアサンのHPが0になった。クリアの瞬間だった。
※この段の描写は、FF14の極討滅戦を一部トレースしています。

激闘の末、リヴァイアサンは討滅された。上位幹部の遺体からウルダハの豪商との関係を示す証拠が発見された。リムサからウルダハにその豪商が本件の容疑者だと伝えられた。豪商は、ウルダハの不滅隊により逮捕された。彼女は、犯人逮捕に興味は示さなかった。ずっと探していた弟を自分の手で殺してしまった後悔と悲しみが心を埋め尽くしていた。
青年は、そんな彼女にやさしく話しかけ、家に帰る様に促した。彼女は、泣き出し取り乱した。悲しみをどこへぶつけていいのかわからず。思わず、青年をたたいてしまった。青年は、そのこぶしをよけるでもなく、そのまま受け止めた。そして、そのままそっと、少年の方に彼女を向けた。少年は、兄の死を聞いて、うつむき、黙って地面を見つめていた。
そして、青年は、彼女に「家族を亡くしたのは、君だけじゃない、残された家族も、君だけじゃない。」青年と少年にともなわれ、彼女は家に帰っていった。

クエスト7-急襲

島では、戦闘が始まっていた。島での取引のため海賊船内には、多くの賊はいなかった。しかし、島には、粗末な建物しかないため、上位幹部は船で寝泊まりしていた。
島の方から火の手が上がった。
黒渦団との戦いの中で、賊が火をつけたのだろうか。
そんな混乱の中、上位幹部を助けるためか、船長も船に上がってきた。船長は、目立つ海賊風の帽子をかぶり、口元を布で覆い隠していた。火事の煙を避けるためなのだろうか。
イエロージャケットの彼女は、賊の中に、弟の姿がないか探していた。いない。趣味の悪い高級そうな服装の賊がいた。彼女は、その上位幹部を見て重要人物と思い、後を追った。短弓の射程に入る。射る、外れた。そこに後ろから声が、「おいっ」、船長だ。こちらもかなりの重要人物のようだ。と思ったが、完全に敵に挟まれた格好になった。船長が、銃を向ける。上位幹部も銃を引き抜こうとしていた。野性的な勘で時間差から船長が先と勝手に体が動いた。1本目を射ると同時に銃声が聞こえた。矢は命中、すかさず2本目を射る。2本目は、船長の胸を貫いた。船長はその場に崩れ落ちた。「後ろから撃たれる。」と思いすかさず、次の矢を引き抜く、「間に合わない。」と同時に彼女後ろで人が倒れる音がした。上位幹部が撃たれていた。船長の玉は、上位幹部に当たったのだ。運が良かったのか。船長に駆け寄り状態を確かめようとした。その眼には見おぼえがあった。懐かしい見覚えが。口元を覆う布をずらす。知った面影、弟の面影がそこにあった。船長、弟は、既に絶命していた。目はかすかにうるんでおり、口もとは微笑んでいるように見えた。混乱の中でも彼女は、その場に座り込み、これ以上動くことができなくなった。僕も、彼女を守るためにその場から離れることができなかった。
複数個所からの同時奇襲上陸作戦が奏功し、黒渦団が各所を制圧しつつあった。
しかし、時はすでに遅く、最後のクリスタルは、島から持ち出されサハギン族の司祭の前に置かれていた。そして、リヴァイアサンが召喚された。

クエスト6-本拠地

小型船での夜間の偵察により、幻影島の沖の島が、海賊の本拠地と特定された。また、大量のクリスタルが次々に運ばれていることもわかった。対策が急がれたが、そんな中、新たなタレコミがあった。クリスタルの引き渡し場所と日時が示されていた。
場所は、本拠地の島を示していた。今回は、サハギン族との直接取引となっていた。取引日までに時間がない。イエロージャケット単独での対応は困難となり、黒渦団も動員されることとになった。蛮神の召喚が疑われていたので冒険者の僕も協力を要請された。大型の黒渦団の船で、岩礁を囲み、そこから小型船でイエロージャケットと黒渦団が島に乗り込む作戦となった。念のためリヴァイアサンの召喚に備えた準備もされた。
作戦は、相手の本拠地のため、昼間では危険となって夜間におこなうこととなった。準備の遅れと天候悪化のため、作戦実行は、取引日時間を過ぎたその日の夜となってしまった。
夜陰に紛れて黒渦団の小型船が次つぎに島にとりついた。イエロージャケット隊は、海賊船が担当だった。小型船で海賊船に近づき、静かに船に登って行った。本拠地のため、賊は完全に油断しているようだった。ほとんどの隊員が船上に登りきるまで、賊に気が付かれることはなかった。

クエスト5-タレコミ

海賊船が次に狙う商船のタレコミがイエロージャケットに寄せられた。前回の密輸摘発情報の漏洩の件があったのでイエロージャケットは、慎重だった。偽情報として、対応を見送った。無傷開放された件で、彼女も情報漏洩者としてマークされていた。徹底的に調べられたが疑わしい証拠はもちろん出てこなかった。
そのタレコミ情報通り、その商船が襲われた。次に、また、密輸情報が寄せられた。この情報源は、確実と思い、対策が検討された。東ラノシアの海岸の取引地点と日時が指定されていた。取引の現場を囲むようにイエロージャケットが配置された。彼女も動員され、短弓での後方支援を任された。情報通り、密輸取引が摘発できた。問題は、密輸品の中にクリスタルが含まれており、捕らえた密輸業者からサハギン族に売るためということだった。サハギン族がクリスタルを集めている。蛮神の召喚準備が疑われた。
密輸品の中に一枚の地図が見つかった。それは、箱に貼られた箱の中身を示すステッカーの下に隠されていた。地図が示す場所は、幻影島の沖の岩礁に囲まれた海域にある島だった。浅い岩礁地帯に囲まれており、座礁の危険から大型船では、そこには、行くことができなかった。

先の取引失敗により、海賊の船長は、窮地に立たされていた。船長とはいえ、裏組織にやとわれただけの中間幹部だったのだ。次の仕事は、失敗は許されないと、大量のクリスタルとともに、上位の幹部が乗り込んできた。上位の幹部は、お前の替えはいくらでもいると船長に告げた。そして、「俺は大丈夫。豪商とのつながりを示す証拠持っている。同じものをウルダハの女にも預けている。」と聞いてもいないことをぺらぺらと話した。最後に「お前も自分の身は、自分で守らないとな。」と助言をしてくれた。船長は、その通りだと思った。
船上から外を眺める。そこは、幻影島の沖の岩礁に囲まれた海域にある島だった。大きな海賊船がどうやってここに入ってきたのか。それができる理由があったサハギン族の水先案内を受けていたのだ。
複雑な潮の流れを読み取り、安全な深い水路がわかるサハギン族の水先案内があって出来る技だった。

クエスト4-エールポート

彼女は、エールポートの養父母には感謝していたが、家族という感覚はなかった。同じエールポートの食堂の息子が同じ年ごろだったので、その息子がラノシアの生活や文字などをおしえる役を買ってくれた。食堂の息子は、青年となり、食堂を継いでいる。彼女を未だ気にかけ支えたいと思っていたが、彼女は、そのことをかたくなに拒絶していた。弟を探すことが最優先だった。しかし、自立のための仕事もあり、生活だけで精いっぱいだった。イエロージャケットには、3国の犯罪情報も少ないながら入ってくるが、国際犯罪が主で行方不明者の情報はほとんど含まれていなかった。そんな中、密輸と海賊行為が大きな問題となっていた。とくにウルダハとの交易船が襲われる事件が多発していた。事件を調べるうちにある傾向がみられた。あるウルダハの豪商の商敵ばかりが襲われていた。冒険者の僕も一緒に調査に当たった。その豪商が裏組織とつながり、海賊を組織している可能性が出てきた。

クエスト3-生い立ち

彼女の生い立ちは、複雑だ。幼いころに両親が亡くなったので、両親のことは、彼女本人もはっきりしたことを覚えていない。南部森林で狩猟を行っていたミコッテ族の一家だったようだ、両親が亡くなった後、一族の親戚に姉弟であずけられた。姉弟支え合って生活していた。狩りの手伝いをする中で、短弓の扱いを覚えた。この頃、グリダニアの密猟への取り締まりが厳しくなり、一族の生活が苦しくなっていた。困った親族は、姉弟を東ザナラーンの人買いに売ってしまった。東ザナラーンで姉弟は引き離され、彼女は、ウルダハからロミンサに運ばれているところをイエロージャケットに摘発され、救助された。弟を探したかったが、南部森林の親戚の元に帰ることもできず、一時施設に預けられ、その後、子供のいないエールポートの商人に引き取られた。彼女は、ラノシアの市民となり、自分の自立と弟を探す機会を得るためにイエロージャケットに入隊した。

弟は、姉から引き離された後、東ザナラーンからウルダハの豪商の元、奴隷のような扱いで、下働きとなった。東ザナラーンで自分より幼い、ミコッテの少年と一緒になった。人買いは、幼い少年の面倒を弟に押し付けた。ちょうどよかったのかセットとして扱われ、豪商の下働きに売られた時も、少年と一緒だった。
弟は、頭の回転が速く、要領が良かった。このため、下働きの中でも頭角を現した。弟が頑張っていたのは、少年との生活を守るためもあった。また、地位が上がれば、逃げ出すチャンスが来るかもしれないと思ったからだ。そのまま、表の稼業で出世できると思ったが、それは、甘い考えだった。ある時、下働き仲間の一人が逃げ出した。逃げ出した仲間はすぐに捕まった。そこに、弟を含め歳が同じくらいの5人が集められた。逃げた仲間は、床に転がっていた。はじめ麻袋だと思ったが人だった。息もかすかな状態でピクリとも動かなかったが、確かに生きていた。5人の前に1本のナイフがおかれた。大人の一人が殺せと言った。5人は、顔御見合わせて、お互いできないと。後ずさった。大人は、「誰がやるんだ、早くしろ。出世のチャンスだぞ。」と。誰かがやらなければいけない。弟は、獲物の解体の経験があった。また、傷ついたまま生きる方が苦しいことも獲物を見て理解していた。弟は、ナイフを手にした。そして、そのまま、誰の顔も見ずに、なるべく苦しまないように、とどめを刺した。一線を越えてしまった。次の日から仕事が変わっていた、裏の仕事だ。少しはお金が使えるようになった。人殺しとなってしまったので逃げることも諦めた。ただ、少年との生活を守ることに徹した。弟の裏での評価もあがり、出世していった。しかし、少年には、裏の仕事はさせず、自分が何をしているかも教えなかった。弟には捨てられない願いがあった。「もう一度、姉さんに会いたい」だ。神様という物を知っていれば、たぶんそういう物に対する願いだったのだろう。しかし、弟は、生まれてからそのような対象は知らない。ただ、その願いがかなえば、すべてを終わりにしてもよいと思っていた。

クエスト2-少年

彼女は、無傷だった。少年も少し痩せていたが、怪我はなさそうだった。彼女はことの顛末を上司に報告した。素直に降伏して捕まったが、拘束されただけでなにもされておらず、箱に詰められたと報告した。目隠しされていたので、賊の様子は分からなかった。
少年は、同族の兄と暮らしており、兄の仕事を手伝っていたと話した。少年の素性がわからなかったので、半監禁された状態でイエロージャケットに留め置かれていた。
無傷で解放された理由がわからなかったが、彼女も報告を一通り終えると休みを与えられた。自室に戻りジャケットを脱ぐとき、ポケットに違和感があった。ポケットには腕輪と手紙が入っていた。
彼女は腕輪を見て驚き、自分の腕をみた。自分の腕輪はついている。自分と同じ腕輪がポケットから出てきたのだ。自分と同じ腕輪・・・。それは、生き別れた弟の物でしかなかった。探していた弟の物。

腕輪とともにあった手紙には、こうあった「少年は、海賊に誘拐されていた被害者なので保護してほしい。」とだけ書かれていた。
弟の腕輪とともにあったので、弟が書いた可能性も考えられた。彼女は、居てもたってもいられず、次の日、出勤するとすぐに少年を訪ねた。少年に、腕輪を見せて、何かわかるか聞いた。少年は、「兄ちゃんがいつもつけていた腕輪だよ。」といった。そして「兄ちゃんはどこ?」とも聞いた。少年の生活についても聞いた。
掃除、洗濯、炊事の手伝いを主にやっており、荷物を運ぶ仕事もあったとのことだった。犯罪に直接結びつくことは、確認できなかった。船が近くにあったようだが住んでいた場所は分からなかった。兄の仕事についても聞いたが、船乗りである以上のことは、よくわからなかった。少年は、犯罪者と認められないため十代前半が入れる施設へ、移動する決定がされた。手紙が弟だとしたらこの子は、自分が保護しなければと感じていた。しかし、仕事上、家を空けることが多く、一人だけで置いておく訳にはいかなかった。頼れるのは、食堂を営む青年しかいなかった。しかし彼の希望にこたえられないまま頼ことはしたくなかった。
最後は、他につてもなかったので、青年に相談することにした。ちょうど人でも足りないので、生活と仕事の世話をしてくれることになった。

クエスト1-サブストーリー開始

リムサロミンサでのイエロージャケット救出作戦からこのクエストは始まる。ソムヌス香の密輸の摘発に、失敗し、イエロージャケットの隊員1名が海賊に拉致されたという。この救出作戦に冒険者の僕が呼ばれた。

事件の概要をつかむため、摘発に同行したイエロージャケットの隊員に聞き込みを行った。
拉致されたのは、ミコッテ ムーンキーパーの女性だった。ロミンサのイエロージャケットには珍しい短弓使いだった。摘発情報が洩れ、摘発に向かった隊員が逆に囲まれて、攻撃されそうになった。そこに後方支援の彼女が助けに入った。しかし、思ったより賊が多く、仲間の隊員を逃がした時には、彼女は賊に囲まれていた。

次に海賊の行方を追うために西ラノシア エールポートへ向かった。そこに僕たちを待つ一人の青年がいた。近くで食堂を営んでいる青年だった。拉致された隊員をすごく心配している様子で、協力したいと申し出てきた。目撃情報を集める聞き込みの協力を求めた。
聞き込みを進めると、港の端に、昨夜にはなかった見慣れぬ木箱が二つ置かれており、中からごそごそ音がするという情報が入った。
箱を開けると一つには、拉致された隊員が縛られて入っており、もう一つには、ミコッテ族の少年が縛られて入っていた。
青年は、彼女の様子を見て慌てて、近づき、彼女を拘束している縄を解いた。そして彼女が立ち上がるのを助けるために手を伸ばした。彼女はその手を払い、自分で立ち上がった。他のイエロージャケットにより少年の縄も解かれた。ちょっと離れた場所で青年が悲しそうに彼女を見ていた。

あの丘の上で

次の日、僕は、FCを抜けた。マスターからも先輩ちゃんからも引き止められなかった。先輩ちゃんから一言「行ってらっしゃい」とだけ言われた。

僕も、「行ってきます」とだけ返した。

今日はあの一連のクエストの最後のクエストを受ける日だ。クエストの地図は、コスタ・デルソルのあの丘の上を指している。偶然?、なんでと思った。

彼女との旅も今日で終わりだ。丘に登った、僕にとっては、見慣れたいつもの風景が目の前に広がっている。

彼女は、海の方を向き「お母さん、ただいま」と言った。黙ったまま、しばらく、やさしい海風に吹かれていた。

彼女は、母親に会えたのだろうか。そして、最後の時が来た。彼女は言った。

「ここは母が好きだった場所。母に会えたきがします。祖母あての手紙を読み、両親にちゃんと愛されていたんだとわかった。今まで自分の出生を恨んでたいたことが、バカみたい。私は今のそのままの自分を受け入れることができました。イシュガルドへ戻り、竜と人との交流に尽力したいと思います。今まで、一緒に旅をしてくれてありがとう。」

複数の返答の選択肢が表示された。あえて「・・・」無言を選んだ。言葉にできなかった。キャラデリして忘れかけていた彼女の顔が浮かんだ。 しずくが落ちた。あふれたものが頬を伝っていた。暖かいものが溢れて止まらなかった。