クエスト2-レベナンツトール

レベナンツトールでは、ドマへ戻らずそこへ残った同胞の検診を行ったとのことだった。その中に怪我をした小さい少女の姿があった。傷は大したことはなかったが、血を見たことで動転し、泣き止むことがなかった。青年は、迅速に止血し、丁寧に手当てした。青年の優しいまなざしで少女は落ち着き、泣き止んだ。少女が元気を取り戻した時には、青年の姿はすでになかった。少女に僕が彼に手紙を届ける話をすると、少女も手紙を送りたいと、覚えたてのつたない字でお礼の手紙を書いた。次は、ラールガーズリーチへ向かうとのことだったので、僕はその手紙を預かり、青年の後を追った。

作戦会議

テーマパーク内の一つの大きなコンテンツとしてリニューアルされたので、老舗オンラインゲームにはテーマパーク内の他のコンテンツから多くの新規参入があった。
僕のFCでも、若葉が増えたので新規組をFCに取り込んで支援しようという話になった。
FCの新規募集を出すことにした。若葉歓迎というキャッチコピーを入れた。

この時、Smith二人組は、どうやって、父であるJcと浮気相手のHotと接触すればよいか考えあぐねていた。何の接点もなく話しかけたら怪しくて警戒されるだろうし、そもそも、超初心者がベテランユーザと接触する機会は、町を歩いているときくらいしかなかった。
煮詰まっていたのでオフで集まってアイディアを出そうという話になった。
Moonちゃんは、偶然にも光士の勤務する会社の駅の隣駅にある花屋で働いていた。
花屋の終わる時間を聞いて、光士たちは、花屋がある駅の喫茶店で待ち合わせた。

情報収集ということで、僕たちは、ロドストをあさっていた。そこで、Moonちゃんがコミュニティファインダーに父親が加入しているFCの募集記事があることを見つけた。Sun君とその内容を確認した。“若葉歓迎”なので怪しまれることなく潜入できそうだ。二人でFCに潜入しようという流れで盛り上がった。二人組でコミュニティファインダーの募集に加入したい旨のコメントを入れた。

クエスト1-東方医学

青年は、ドマ難民としてレベナンツトールに家族とともに渡ってきた。青年の両親は、東方医学の医者だった。青年は、両親から東方医学を学んでいた。
ドマが帝国から解放され、難民の帰国が計画されることとなった時、同時にドマとエオルゼア諸国との交流についても話し合われた。交流の一環として、留学が検討され、特に傷ついた国土の復興に貢献する分野が選択された。青年は、本人の希望と家族の後押しでイシュガルドへ医学生として留学することとなった。家族は、ドマへ帰ったという。別れ際に母親は、青年に対し「私たちのことは気にしないで、困っている人に寄り添える医者になって」と伝えた。執事によると青年は、非常に優秀で短期間にイシュガルドの医学を習得し、既に研修医として働いているとのことだった。執事によれば、まだ、研修の目的地のギラバニアへ旅立ったばかりだと言った。レベナンツトールへ寄ってからギラバニアへ向かうとのことだった。

僕は、急ぎ、レベナンツトールへ向かった。

クエスト開始-配達士Level??

リニューアルに合わせて、いくつかのサブクエストが追加された。僕は、クエストも試したくなり、その中のレター・モーグリのサブクエストを受注した。

配達員のモーグリから1通の手紙を託される。宛先の住所は、イシュガルドだった。発信元は、クガネ経由で、ドマからだった。宛先は、イシュガルドに医学生として留学しているドマの青年宛てだった。早速、留学先のイシュガルドへ向かった。青年は、ホームスティとしてフォルタン家の屋敷に下宿していた。フォルタン家を訪れ、執事に、青年との取次ぎをお願いした。すると青年は、不在とのことだった。手紙は、書留となっており、モーグリから必ず本人に渡すように言われていた。しかたなく、青年の行き先を尋ねた。近況とともに行き先が確認できた。

新規作成

光士は、サービス開始を待つ間、VCでオンライン仲間に何となく、父親のことを曖昧に相談してみた。男性陣からは「浮気じゃないでしょ。」とあまり興味をひかなかった。女性の一人が食いついてきた。「これは、浮気の証拠を集めて、お母様へ報告必要です。懲らしめないと。」となぜか息巻いていた。
サービス開始当日に二人して、さっそくFF14に参加登録した。キャラを作る。潜入調査なので目立たない方がいいなと考えて、小さいララフェルの男女キャラにした。名前は、
男性キャラを、Sun Smith、女性化キャラをMoon Smithにした。完全に適当だ。もともとゲームをやる気がない。浮気調査が目的だ。月と太陽を名前にして。ラストネームは、システムからの出された候補をそのまま採用した。新しいシステムでもサーバの割り振りは同じだった。それを確かめ、父と同じサーバにキャラを作成した。

SunとMoonは、それぞれ、槍術士と弓術士を選択していた。同じグリダニアに降り立った。ゲームをまともにやる気もないため攻略情報も調べていない。キャラを作ったのだが、どこから手を付けてよいのかわからなかった。

サービス開始

光士は、アパートに戻ると、さっそく、父のやっているゲームの情報を調べだした。
自分がサブスクに入っている仮想テーマパークに来週、組込まれてリニューアルされることを知った。これなら簡単に父のやっている老舗のゲームに参加できそうだと思った。

サービス開始の日が来た。僕たちは、1か月ぶりにこの世界にきた。前回、ログアウトしたFCハウスに二人はいた。当たり前だが「FCハウスもそのままだね。」と感想を言った。風景もそのままだ。新しいシステムに移行したので仕様的には性能が向上している。性能を確かめるようにいつものコンテンツに二人で参加した

夕食

久々に息子が帰ってきたので、彼女も料理に力を入れていた。僕もそれを手伝っていた。
父が料理を手伝う・・・昔からの見慣れた風景だ。父は母の家事の手伝いをよくやっていた。母はそれをチームプレイと言っていた。光士の眼には、今、「父は、何かやましいことがあって、それを隠すために家事に協力的な態度を見せているのでは」と見えていた。
いつもより豪華な夕食を前に僕たちは、食事を始めた。「光士、仕事の調子はどうだ?」
「まあまあだよ。新人研修ももうすぐ終わりで、本格的に仕事が始まるよ」
光士からいきなり、「父さん、最近ゲームとかやってるの」と聞かれた。
僕は、彼女と顔を見合わせてから、「いいや、やってないよ。なんで。」といった。今さら30年以上オンラインゲームやってますとは言いづらかった。夫婦二人で。
光士は、「なんとなくだよ。」と返した。父は、ゲームのことを母にも隠しているのかと確信した。浮気への疑念がますます大きくなった。
日曜日に光士はアパートに帰った。

発見

光士は、自分のアカウントでログインすると早速クラウドの報告書を会社の人事宛てに送った。一仕事終えて、ふと父親のパソコンのスペックに違和感を持った。あれ、このパソコン、ゲーミングPCじゃないか?父親のパソコンには、動画鑑賞や事務処理では不要な画像処理機能が組み込まれていた。なぜ?と思いなんとなくフォルダを適当に開く。どこにも鍵はかかっていない。偶然開いたフォルダに大量の画像があった。ゲームの画像だ。
「男性キャラは、Jc Crashというのか。女性キャラはHot Spice。」親密そうな2ショットがたくさんあった。
インストールされているゲームは老舗のオンラインゲーム。画像から読み取れる情報をスマホにメモしていく。所属フリーカンパニー、サーバ名・・・。
光士は、Hot Spiceが自分の母だとは、まったく、考えなかった。子供のころから、両親二人が、ゲームをやっているところを見たことがなかったからだ。両親は、ゲームには寛容だったが、あまり同じゲームをやったことはなかった。パーティゲームやミニゲームなど一緒に短時間でやれるものしか思い出になかった。父親と思われる男性キャラが、ゲームの世界で女性キャラと親密にしている。光士の妄想は、斜め上に進んでいき、「浮気をしている」にたどり着いた。ゲーム内で浮気が成立するのか知らないが、光士には、円満な家庭に由々しき事態が生じていると思われた。証拠を一通り集めて、パソコンをOFFした。

実家にて

実家につき、挨拶だけし、まだそのままの自室に駆け込んだ。新人研修報告書を提出するためだ。報告書自体は、完成してクラウドにあった。提出するだけなのですぐ終わると思った。
しかし、ノートPCの電源が入らない。昨日、給電しないまま、寝落ちしたので、バッテリーが切れているようだった。充電しようと思ったが、
「こいつ専用の充電ケーブルが必要じゃん。」とケーブル忘れたことに絶望した。
仕方ないので、父にパソコンを借りることにした。父に相談すると、「アカウント作ったので使っていいよ」と言われた。

父=僕は、光士にPC貸してほしいと言われたので、息子用のアカウントを設定した。オンラインゲームがサービス停止中でなかったらエオルゼアに入っているので貸せなかったなと思った。

光士

光士は、就職してから半年がたち、生活にも慣れてきた。昨日は、金曜日でもあり、夜には、仮想テーマパークの友達とオンライン飲み会があった。ちょっと飲みすぎで、朝、けだるく起き上がることができなった。
そうだ、今日は、久しぶりに実家に帰る予定だった。珍しく母から、この期間指定で帰って来いと連絡があった。重たい体を無理やり起こし、帰る準備を始めた。
アパートを出ようとしたとき、新人研修報告書の提出を忘れていたのに気が付いた。そうだ、昨日出さなきゃならなかったんだ。と思い出し、ノートPCをリュックに突っ込み、家を出た。
アパートと実家は、そんなに離れていない。1時間程度だ。毎日の通勤を考えると少し遠かった。何より、両親から離れて一人暮らしがしたいという願望もあった。
母親には「チームワーク」という謎に熱い一体感を求めるところがあり、正直うざかった。幼い時は、それが心地よく楽しかったが、反抗期に入ると暑苦しく感じるようになった。
自分が感じているだけなのかもしれないが、一人っ子であり、成長するにつれて向けられる期待が重たかった。父も母より年下なのか、母の尻に敷かれる感じで、同じ男性として頼りないと感じていて、見ていてイライラした。自分は、そういうのは嫌なので、結婚するなら同い年か年下の人が良いと思っていた。