雑談

二人ともDPSなのでシャキ待ちが長い、そんなときは、雑談する。ルカ君は案外話し好きだった。好きなNPCの話とかしてたら、その流れで「リーダーってかわいいよね。」とルカ君が言った。

「リーダーって、カコちゃんのこと?」
「そう。キャラはかわいい系だけど、チャットは、大人な女性って感じで。」
「そ、そうだね。物静かな感じだね。」中身を知っている僕は、何と答えればいいのか迷った。
「そういえば、ベンタ君は、なんでリーダーのこと、“ちゃん”づけで呼んでいるの」
「もともとフレンドなんだよ。CWLSに入る前からの。」
「そうなんだ。じゃ、仲いいんだよね。」
「うん、カコちゃんには色々教えてもらった。ここの生活のこと」
「それだけ?」
それだけだね、ゲームの攻略の方法しか話したことなかった。よく考えてみると。
「それだけ。」

イケメンヴィエラ

何回か募集を出しているとなじみの人ができてきた。活動時間やストーリー進捗が同じなので自然と毎回参加してくれる。その中にイケメンヴィエラがいた。
イケメンヴィエラの名前は、Luca Mancini ルカ マンシーニだった。ただただかっこいい。
僕は、ルカ君と呼ぶことにした。僕のことは、ベンタ君と呼んでもらった。ルカ君は、カコちゃんのことをカコさんと呼んでいた。リーダーをカコちゃんと呼んでいるのは、考えてみれば僕だけだった。

ルカ君は、CWLS外でも僕に気さくに話しかけてくる。だからフレンドになった。ルカ君は、男同士気軽につるめるの良いといっていた。僕は性別明かしてない。インするとすぐにルカ君から直接連絡来るんで、ルレの募集もCWLSに出さずに、ルカ君と二人で行くことが増えた。まあ、二人いれば野良でも特に問題なく攻略は進められた。

ジョブになる

今日は、一人でストーリーを進める。僕のレベルは、レベル30になっていた。レベル30になると、クラスという物からジョブという物に格上げされる。初心者の僕には、よくわからなかったけど、カコちゃんからレベル30になったらジョブになってねと言われていた。でも、まだ、ジョブに昇格するクエストが格闘士ギルドに行っても受注できない。カコちゃんに相談するとストーリーをあるところまで進めないとそのクエストが発生しないと教えてくれた。だから、今日はストーリーを進めることにした。ストーリーを進めるとだんだん、拠点の町から離れた場所が目的地となる。まだ、移動手段が徒歩の僕には地味にきつかった。周りのモブも強くなっていて、そばを通るだけでも襲われる。格闘士は回復手段も少ないし、HPも低いので簡単に殺されてしまう。

集中力が切れて、漫然と歩いていたら、モブに襲われた。走って逃げたけど逃げた先でもモブに絡まれ、どんどんHPが減っていった。倒れる、ダメかもしれないと思ったところで、HPが満タンに戻った。目の前に範囲攻撃をしているヒーラーさんがいる。あっという間にモブが殲滅された。カコちゃんだ。タンクのカコちゃんしか見たことがなかったのでヒーラー姿のカコちゃんに見とれた。天使が舞い降りたのかと思った。
「こんにちは、ベンタ君。」といつもの笑顔だ。
「ありがとう。カコちゃん。どうしたのこんな場所で。」と僕。ここは、ベテランが偶然に来る場所ではない。
「ベンタ君は、今日あたり、この辺のクエストやってるんじゃないかなと思って見に来た。今日暇なので、付き合うよ。」と、二人乗りのマウントを出す。「乗って、次どこ行く。」
僕は、初めて空飛んだ。気持ちよかった。カコちゃんは優しいな。いつも。
その後、無事、格闘士からモンクになれた。

コミュニティ

自キャラを操作しているときの心が男の心なのか、まだよくわからなかった。だから、山田君とは、会わないようにした。カコちゃんの女性キャラを意識するため。山田君は男性だから。男性らしさってなに。私が男性に求めてるもの。やさしさ、強さ。でも、カコちゃんは、強くて優しい。女性キャラなのに。
僕は、新しいIDに挑むたびカコちゃんに同行をお願いしていた。そんな時、カコちゃんからCWLSへの加入を勧められた。カコちゃんが、私もいないときもあるし、連絡取合うのにも便利と言われた。トラブルの件もあって、カコちゃんは、私に付き合うのが面倒になったのかもと思った。
そのCWLSは、初心者支援と相互支援を目的としたものだった。僕は、当然初心者の支援される側だ。カコちゃんは、ここでリーダーをやっていた。
「私が初心者の時にいろいろ困ったので、初心者を支援するためにフレンドとこのCWLSを作ったんだよ」と教えてくれた。カコちゃんは、私に付き合うのが、面倒くさくなったわけじゃなかった。

カコちゃんは、リーダーをやるなんて、すごいなと思った。リーダーとして僕に、挑みたいIDの募集の仕方を教えてくれた。まあ、単純なだけど、挑みたいID、初見かどうか、募集したいロールやジョブと人数くらいをCWLSチャットに流すだけだった。
次の日、さっそく募集を出してみた。ちゃんとカコちゃんもパーティに参加してくれた。なんか安心した。

トラブル

2ボス戦前も同じだった。2ボスが終わるとやはり、もう一人のDPSは、カコちゃんより先に進む結局、3ボス前まで雑魚をまとめてしましった。やはり、僕はここでもカコちゃんを見る余裕はなく、ひたすら攻撃に専念した。もう一人のDPSは、雑魚が殲滅されると一人で、3ボス部屋に入る。すると僕には、ムービーが始まった。カコちゃんには初見だからムービー見てていいよと言われていた。だからそのままムービーを見ていた。「・・・閉鎖される・」とかのメッセージが出ていたが、僕には意味が解らなかった。ムービーがあけると、ボスと戦ってるのはDPS1人だった。すでにひん死の状態だった。カコちゃんとヒーラーは、部屋の外で僕を待っていた。戦闘エリアに転送するメッセージが出たので、僕たちもボス戦に加わった。加わったけど、もう一人のDPSへのヒールが間に合わず倒れてしまった。ヒーラーは、蘇生をおくったみたいだけど、DPSは起き上がらなかった。みな、黙ったままだ。低レベルのIDなのでタンクとヒーラーがいれば、DPSが一人でも何ら問題はなかった。ちょっと時間がかかったけどボスを倒せた。僕は、またムービーに入った。
ムービーから戻ると、カコちゃんだけが残っていた。ヒーラーの「クリアおめでとう」と言うメッセージはチャット欄に残っていた。

「クリアおめでとう。ちょっと嫌な思いさせちゃったね。」とカコちゃんから言われた。
「カコちゃん。あんな状況でもちゃんと対処出来てすごい。」と僕が言うと。
「私じゃなくて、すごいのはヒーラーさんだよ。ヒーラーさんがちゃんと支えないとこのレベルのタンクはもたないんだ。」とすまなそうに言った。
僕は状況が良く理解できず、黙ったままだった。
「わたしは、ロール放棄しない主義なんで、先釣りにはつきあうんだよ。ヒーラーさんがついてこられる以上はね。でも3ボス前のムービー待てないのはちょっと許せなかった。ベンタ君がいるのわかってるのに、つっこむから。」
「ごめん。僕が負担掛けちゃったかな。」
「ベンタ君は何も悪くないよ。」
カコちゃんは、優しくて、かっこいいと思った。

次のID

僕も、ここの生活にだいぶ慣れて、ストーリーを進めていた。次のIDが解放されたので、さっそくカコちゃんに連絡入れた。ちょっと待ってと回答があった。カコちゃんも忙しいのかなと感じた。それでも5分くらいで来てくれた。
「お待たせ、パーティを組もう。」と到着するなり、前回と同じようにカコちゃんから提案。パーティ勧誘を承認する。
「私がタンクやるから、ベンタ君は、前回と同じように私の後ついてきて。ベンタ君は攻撃に専念すればいいから。じゃ、CFに申請出すね、準備はいい。」
「OKだよ。」前回と全く同じやり取りだ。

知らない人二人とのパーティが組まれた。開始早々、もう一人のDPSがダッシュで走り出した。タンクのカコちゃんも追いかける。カコちゃんは、1グループ目の雑魚で止まったけど、もう一人のDPSは止まらずさらに進む。カコちゃんは、それを見て、スプリントを入れて追いかけた。僕もついて来いと言われてたので、スプリントを入れて追いかけた。1ボス前までの雑魚を全部まとめた状態だった。僕はただ懸命に雑魚を攻撃した。周りを見る余裕はなかった。
雑魚を殲滅したときのカコちゃんのHPはマックスの1/4くらいまで減っていた。
カコちゃんは、そのまま黙って、1ボス戦に入った。ボス戦後にはHPは、回復していた。

ID攻略

初めてなので、やはり、緊張する。見ず知らずの二人を含む4人パーティ。敵を攻撃しつつ、必死にカコちゃんの後を追う。僕はDPSなので敵を攻撃するのが仕事、カコちゃんは、タンクなので敵視?を集めて、敵の攻撃を一手に引き受けるのが仕事。あと、ヒーラーさんがいて、回復をしてくれる。カコちゃんは、常に先頭を走って、真っ先に攻撃を仕掛ける。パーティのリーダーみたいに感じた。
罠とか鍵とかのギミック処理は、他のメンバがみんなやってくれた。何が何だかわからないうちに最後のボスまでたどり着いた。ムービーが始まる。ドキドキしながらムービーを見終わると、カコちゃんが1回ジャンプしてボスに駆け寄り、攻撃を仕掛けた。ここでもカコちゃんがボスと一人で対峙し、残りの3人は、後ろから攻撃を加える構図だった。カコちゃんかっこいい。多分、これがカコちゃんにあこがれをいだいた瞬間だと思う。ボスを倒して、ムービーを見ていた。興奮冷めやらぬ中、ムービーから戻ると、カコちゃんが一人で待っていた。他のメンバは、もうダンジョンから出てしまったようだ。

「クリア、おめでとう。」
「ありがとう」
「お疲れ、どうだった。初めてのダンジョン。」
「お疲れ様。いや、緊張してよく覚えてない。でも楽しかった。」
この日は、初めてのダンジョン攻略につかれたので、クエストを終わらせてログアウトした。

ID解放

ストーリーが進んで、サスタシャというダンジョンの攻略になった。さっそく、カコちゃんに連絡する。
「カコちゃん、サスタシャってところに行くことになったよ。お願い。手伝って。」
「了解。いまどこ。」
「サスタシャの前」
「そっち行くから、そこで待ってて。」
カコちゃんが、空から舞い降りてきた。ベテランは、空を飛べるんだね。地を這う僕とは、大違いだ。

「お待たせ、パーティを組もう。」と到着するなり、カコちゃんから提案。
パーティ勧誘を承認する。
「私がタンクやるから、ベンタ君は、私の後ついてきて。ベンタ君は攻撃に専念すればいいから。じゃ、CFに申請出すね、準備はいい。」
「OKだよ。」
カコちゃんがCFに申請出すとすぐにシャキって、ダンジョンに突入した。

初心者の館

僕のジョブは、格闘士。男っぽかったし、キャラ作るとき、なんか殴りたい気分だったので。
カコちゃんに言われた通り、初心者の館のクエストを全部うけた。初心者の館は、西ラノシアのエールポートの近くにある。ウルダハからは、ちょっと遠い。カコちゃんからは、各冒険者ギルドでもクエストは受けられるけど、初心者の館の近くにどうせ行くことになるから、フェリーに乗れるなら、フェリーと船乗り継いで行ってもいいかもと言われていた。小旅行気分で、ウルダハからベスパーベイまでチョコボポーターで移動して、フェリーでリムサへリムサの漁港まで移動して、船でエールポートに移動した。初心者の館は、エールポートを出てすぐのところにある。

初心者の館では、なんか、攻撃の仕方、よけ方、複数の敵との対峙の仕方、ギミック処理、パーティプレイなどを学んだ。なんかできる気がする。装備は、胴、手、脚、足の4つとビギナーリング(指輪)をもらった。カコちゃんには、頭と指輪1個以外のアクセサリーはもらえないと聞いていたので、これで全部だとわかった。着替える。おー、ビギナー装備ってかっこいいんだね。なんか強くなった気がした。あと、ビギナーリングは、レベル30まで経験値ボーナスがあるのでつけておいてと言われていたので、忘れずにつける。カコちゃんのアドバイスは、至れり尽くせりだ。

同情

キャラ操作時の私の心が男子になっているのかわからないまま、レベルを上げていった。ゲーム自体は、楽しいけど、当初の目的、男の心を知るはつかめていない。山田君に言われていたレベル15になったのでどうすればいいのか聞くために、またお昼に山田君を誘う。

「レベル15になったよ。ジョブクエも終わったよ。」
「おめでとう。じゃ、初心者の館ですね。ここで戦闘の基本を学びます。全部のクエストを受けてください。クエスト受けるとビギナー装備を一式もらえるのでそれに着替えて下さい。ストーリーも進めてくださいね。最初のインスタンスダンジョンに行けるようになったら、また、連絡ください。一緒に行きますから。」
「わかった。ところで、カコちゃんには、恋人とかいないの。結婚システムとかあるみたいじゃん。」
「エタバンのことですか。カコには、恋人いませんよ。ソロプレーヤーです。」
「じゃ、私が、なってあげるよ。男子の気持ちが知りたいんだよね。」
「やめてください。同情ですか。同情は必要ありません。」
本気で怒っているみたいでびっくりした。
「ごめんなさい。軽率だったね。」
私、冗談のつもりだったのかな。カコちゃんには、良くしてもらってるし、山田君のことかわいいと思ったし、元カレにも未練もあるし。複雑な感情が混じっていた。