出資

僕は、マスターだがギルの管理には頓着していなかった。ウサ男もだ。ここで眼鏡女子から提案があった。
「私がハウス購入資金を出資します。代わりに、私をFCの会計責任者にして、チェストの管理を任せて下さい。」と言ってきた。
女神に見えた。資金に関しては、ウサ男とミコッテ女子は役に立たない。着ぐるみは、戦力外だ。眼鏡女子のお陰で、Sサイズを購入する資金の目途は立った。早速、土地を物色し、運よくSサイズでも一等地の空きがあった。ワクワクしながら抽選日を待つ。

ハウス購入

FCの当面の目標は、ハウスを手に入れることに定めた。マスターとしての決断だ。
ただし、そのためにはギルが必要だ。Sサイズでも300万ギル。建物を加えると400万ギルは最低でも必要だ。Mサイズ、Lサイズになると桁が変わるので、僕には現実的に考えられなかった。まずは、Sハウスを手に入れるのが目標となった。
常時インしている人数は、大体4人くらい。5人そろうことはなかった。着ぐるみとミコッテ女子のイン率が低かった。着ぐるみは、僕の中で、数合わせなので特に気にしなかった。ミコッテ女子には、入っていてほしかった。

顔合わせ

顔合わせを行ったが、この日は、ミコッテ女子はインしていなかった。まあ、4人の顔合わせでよかった。ミコッテ女子は、着ぐるみには、興味ないのかなと思った。
この後、応募はなかった、当面5人での運営となった。
リアフレしかいなかったのでチェストの出庫には権限はかけていなかったが、さすがに新人が入ったので権限を付与した。
FCの階級は、僕がマスター、ウサ男がサブマス、他3名がメンバとした。僕とウサ男の権限に違いはつけなかった。
チェストの1番には、僕とウサ男だけが閲覧と入出庫できるようにした。チョコはそこに保管してある。あれ以来、連絡もないので、邪魔なので、チェストに押し込んでいたのだ。
すっかり忘れていたが、大事と言っていたので、大事にしまっている。

FC体験

まず、2週間の体験で入ることとなったので、顔合わせしようという話になった。僕のFCには、まだ、FCハウスはない。いま、貯金している最中だった。メンバと集まる場所は、決まっていなかったが、大体は、ウルダハの冒険者ギルドに集合していた。今回もそこに集まった。僕は、ミッドランダーのフツメン。リアフレは、ウサ男のイケメンだ。こんな時、僕もイケメンかイケオジにしておけばよかったと後悔する。
早速、ルレを一緒に回ってみた。女子の加入でFCが明るくなった感じだ。どこも明るくなっていない。ただの僕の感想だ
驚いたことに、続けてミッドランダーの眼鏡女子と中身不明の着ぐるみが応募してきた。
まず、眼鏡女子は、落ち着いた感じの子だった。僕の心は、ミコッテ女子に奪われていたので、機械的に対応してしまった。人間は単純だ。いや、僕は単純だ。彼女も体験で加入した。次の日、着ぐるみと面接した。会話は普通に出来たので加入許可した。
とりあえず、まずは、人を増やしたかった。
着ぐるみは、ロールプレイなので顔は出せないと言われた。僕も、そういう物なのかなと思って、深く追及しなかった。

FC募集

FCの二人が引退するといってきた。二人では少し寂しいので、FCメンバを公募することにした。直ぐにかわいいミコッテ女子の応募があった。僕はウキウキして面接の予定を返信した。夜21時にインして、応募してきたミコッテさんにTellする。ちょっと間があって、「こんばんは、初めまして」と返ってきた。
チャットがたどたどしい感じが初々しさとともに若葉らしさを感じる。FCの決まり事など、一通り説明する。
リアフレ2人なんで、FCに決まり事なんかなかった。直前にコミュニティファインダーを見て適当に決まり事をでっち上げた。マスターらしく振舞うためだ。「インしたときには挨拶してください。挨拶があった場合は、できるだけ返してください。コンテンツ中で無理ならいいですよ。」など・・・。

テロリスト

ハッカーはすでにテロリストと接触しており、キーの売却交渉に入っていた。既にキーはゲーム上にかくしていることなどをテロリストに明かした。安全場所になるので、値段交渉には応じないと強気に出ていた。テロリストは、余りに高額な要求額に業を煮やし、ハッカーを拉致することに切り替えた。それを察知したハッカーは、逃亡を図った。だが、運悪く逃亡の最中に交通事故にあった。追いかけていたテロリストは、事故にあったハッカーに介抱を装い近づき、ハッカーに問いかけた。キーはどこかと。僕の名とFC名がハッカーの最期の言葉だった。

警視庁vsハッカー

警視庁サイバー犯罪課に経産省の原発関係の課から連絡が入った。原発施設サーバアクセスの暗号キーが盗まれた可能性があると。直ぐに犯人の特定がすすめられた。容疑者は、ハッカーで、テロリストではない。テロリストの手に渡る前にキーの回収が必要だ。大規模な捜索が行われた。絞り込まれるが・・・。
「犯人は、どこにいる。」
「ゲーム内にいます。」
「何、こんな時にゲームだと」
「しかし、ゲーム内で取引が行われると追跡が難しくなります。」
警視庁でゲームの大量のアカウントがつくられログインが始まった。
データセンターが絞られワールドまで絞られた。ログインしている捜査員の画面がすべてリアルタイムで画像認識が行わる。AIが、1つのキャラクターが怪しいと特定。
後を追う。
「対象と接触しているキャラがいます。」
「カメラを回せ」
この時もこの先もそこに映っているのが、チョコをもらっている僕の姿だと知ることはない。

リアフレFC

まさか、僕たちがあんな事件に巻き込まれるなんて、夢にも思わなかった。それを語りたいと思う。

僕は、FCのマスターをやっている。リアフレ4人で作ったFCだ。マスターなんて柄じゃないが、リアフレ3人に押し付けられた感じだ。
そんな中、僕が、クエストをこなしている最中に一人の女子に呼び止められた。かわいい。
ヴァレンティオンには、季節的に少し早いがいきなり大量のチョコを僕にくれた。
しかし、言っていることがおかしい。ハートチョコとホワイトチョコの2種類。ハートチョコが241個、ホワイトチョコが877個だった。
「大事に持っておいて。次に連絡するときに返して。」と言われ、「絶対に食べないで」と念を押された。彼女はテレポ消えていった。

丘の上で

Smith二人組から解放されて久しぶりにいつもの日常が戻った。今日のコスタ・デル・ソルの天気は、晴れだ。二人で進めているクエストの途中でちょっと寄って行こうかとあの丘へ向かった。心地よい風が吹いている。二人して、丘に上に座った。こうして海を眺めるのは何回目だろうか。
「まだ続くね。この旅。来月のパッチで新しいコンテンツが追加されるみたいだよ。」
彼女は黙っていた。そして僕の話には答えず。
「いつかあなたの旅が終わったとしても、私、待っているね。ずっとここで。」
僕は確信していた。はっきり言える自信があった。
「あぁ、必ず、戻ってくるよ。そして、また、一緒に冒険を始めよう。」

いつか必ずこの旅が終わる時が来るだろう。それがいつなのか僕は知らない。それまで僕は、今日を生きる。時には走り、時には立ち止まり。だって、まだ、君との旅の途中。

おしまい

お返し

光士は、なぜか、すっきりしていた。親から独り立ちしたいという変な肩肘を張る必要がなくなったからか。無理に親との関係を切る必要もないし、むやみに干渉する必要もない。お互いできる範囲で協力すればいいんだよね。一人っ子の負い目か、学生の頃は、友達からの独占の羨みや甘やかしの蔑みなのがずっと気になっていた。自分が勝手に考えすぎていただけだったと。当たり前のことに気づかせてくれたのは、この無謀な計画を一緒に遂行してくれたMoonちゃんのお陰だと思った。

そう考えていたら、居てもたっていられなくなった。会社を出るとそのまま、隣駅の彼女の勤める花屋へ向かった。駅についたときは、花屋の閉店時間が迫っていた。足早にまっすぐ花屋に向かった。光士にMoonちゃんはすぐに気が付き、突然の訪問に、どうしたのと聞いた。そしてもうすぐ店閉めるからちょっと待ってと言った。店には、赤いバラが十数本ほど残っていた。光士は、それを指して「全部花束にしてください。」と頼んだ。Moonちゃんは黙って、なんだろうと疑問に思いながら、バラを取り出し、花束にまとめた。会計をすますと閉店時間を過ぎていた。光士は、花束を抱え、ぶっきらぼうにMoonちゃんにそこで待ってると言った。花屋までは勢いできたが、Moonちゃんの顔を見たら、緊張感が生まれた。花束を抱えたらさらに緊張がたかまり、普通に話せなくなっていた。
Moonちゃんが店から出てきた。光士は、目の前に怪訝な表情のMoonちゃんがくると、花束を前に突き出し、「これからも、よろしくお願いします。」と言った。
Moonちゃんは笑顔になって、「こちらこそ、よろしくお願いします。」と言ってから、差し出された花束を受け取った。