出会い

ストーリーは楽しい。相変わらずボッチのままだ。ストーリー中は、ソロで自分のリズムで進めるのが良いというネット情報を言い訳にして、交流に踏み出すことはなかった。

当然踏み出す、勇気などあるわけもない。どうやって、人とつながるのか、そのきっかけさえ分からなかった。

ある日、森を移動していると、戦闘が起きている。ふと見るとHPが激減しているプレーヤーがいた。タンクなので敵視を取って、救おうとしたが、間に合わず、プレーヤーは、倒れた。直ぐに敵を処理して、そのプレーヤーを見るとまだ、倒れたままだ。始めたばかりのヒーラーに着替えて蘇生した。プレーヤーは起き上がった。彼女はエレゼンの女性キャラだ。ぺこりとお辞儀して、ありがとうと言われた。

人から言葉をかけられたのは、はじめてなので、チャットの返し方も、身振りの返し方もわからなかった。

ぼったちしていた。気まずい。たぶん彼女も困っていると思う。汗が出てきた。

ピコっとなんか通知が来た。フレンド申請だ。フレンド申請を受けたのは、初めてではない。

何度か、町で、知らない人からいきなり申請されたことがある。当然、怖いので、断り続けていた。

友達になった。こんにちは、とあいさつした。どうしていいのか頭が真っ白になってとりあえず、サヨナラの身振りをして、飛び立った。本来の目的地のクエストに向かって。

ダンジョンへ

はじめて、ダンジョンに行くこととなった相変わらず、ボッチだ。人とかかわるのが怖い。

しかし、ダンジョンは、パーティを組む必要がある。

ボッチにも優しいランダムマッチングシステムがある。でも、申請する勇気が起きない。

ネットでは、ネガティブな情報が溢れている。うまく立ち回れるのか不安、怒られるのが怖い。 無意味にダンジョン前をウロウロした。悩んでも仕方がないので、勢いで申請。タンクなので直ぐにパーティメンバが集まる。ダンジョンに突入。「よろしくお願いします。」あいさつする。準備OK、良し、行くぞ。あっという間に終わった。うまく出来たかわからないが、怒られることはなかった。

冒険の始まり

仕事で疲れ果てて、理不尽なことが続き、どこかに逃げたかった。何か新しいことがやりたい。でも、何もやる気が起きない。ゲームならできるかもしれない。今、何が流行っているのだろうか?ネットをあさる。

オンラインゲームという物があるようだ。人とのつながりは、不安。でも違う世界に行ってみたかった。どのオンラインゲームが良いのか、さらにネットでの評判を検索する。

10年近く前にリリースしたが、いまだ人気が継続しているFFシリーズのオンラインゲームがあることを知った。FFシリーズなら外れはないだろうという漠然とした期待もあった。

そうして、僕は、FF14を始めることにした。

まず、自分が操作するキャラクターを作る必要がある。名前を付け、種族を決め、体格、顔のパーツを選択していく。僕は、キャラと自分自身をある程度同一視していたので、男性キャラにすると決めていた。女性キャラで始めることは、全く考えていなかった。

種族は、ヒューランだと日常すぎるので、別の種族にしたかった。かといって、猫やウサギやライオンは、違うかなと感じた。エレゼンにした。日常から離れられない僕の限界だ。耳も一番短くしたのもその片鱗だろう。

名前は、Jc Crashにした。読みは、ジェイシー クラッシュだ。本名のイニシャルをもじったものに、その時のすべてを壊したい衝動を表現したつもりだ。実際には、なにも壊すことなんてできないのに・・・。

そうして、僕は、この世界、ここエオルゼアに降り立った。

町には、人があふれている。NPC(ノンキャラクタープレーヤー)もいるが、ほとんどの人は、人間が操作しているキャラクターだ。

そこここで、会話している。身振りしている。何なんだ、この活気は。戸惑いつつ、ふらふらと、最初のクエストを探す。 はじめは、お届け物など、簡単なお使いを受けたり、弱いモンスターを倒したりしてレベルアップを重ねる。その繰り返しだった。