僕はゲームに残るかやめるかを考えていた。ふと、疑問が湧いた。以前から僕はレクエさんの名前が気になっていた。Me Recuerdas、メ・レクエルダスという名前。
ミコッテ サンシーカーだから氏族名のメがファミリーネームだと思っていた。だけど初心者が種族の命名規則なんて知っているのかな。僕は知らなかった。だから蜃気楼がかっこいいと思って適当に名前を付けた。
インターネットで彼女の名前を検索する。スペイン語っぽいみたい。翻訳してみる。
“私を覚えていますか”
だった。どういうことなんだろう。偶然。それとも、誰かに対するメッセージ。僕に対してなのか。彼女は、僕のことを認識しているのだろうか。
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成長
レクエさんとは、新しく解放したコンテンツだけでなく、レべルレなど各種ルレにも一緒に行くようになっていた。クラスからジョブに弓術士から詩人になっていた。装備更新が必要な時は、製作装備を作ってあげた。レクエさんだからそうしようと思ったのだと思う。それに友達の成長を見るのはすごく楽しかった。その手伝いができることは自分の楽しみにもなっていた。だから、他のFCメンバに対しても同じように接していた。でもレクエさんは、やはり特別だった。昔の思い出があるから。あの時できなかったこと、言えなかったこと。いま自信があるかというとそうじゃないけど、あの時よりましだ。僕も成長したのかな。
そうこうしていると僕のプレイ期間の残りが10日ほどになっていた。このまま消えるか、ここに残るか決めないといけないと思った。
要請
ほぼFCハウスの庭にいるのでマスターと話しをすることが増えていた。同じ時期に始めたようで、同じ時期のストーリーやイベントの話ができて楽しかった。結構難しい戦闘もソロで挑戦していて、ゆっくりだがかなりのところまで攻略していた。
FCメンバの手伝いとかしていて、僕は、マスターには頼りにされているようだった。課金のプレイ期間の残りは、もう2週間くらいだった。そこにマスターから相談があった。
「シンキさん、うちのFCのサブマスやってもらえないかな。みんな戦闘面で頼りにしているから。」突然の要請で驚いた。
「いや、僕は、引退するつもりですから。」
「時間的余裕があるのなら、引退しなくてもよくない。ちょっと考えてみて。」
確かに、高難易度へのやる気を失ってるけど、この世界は好きなことに変わりはなかった。
「今すぐ返事できません。」と返した。
生活
レクエさんから呼ばれないときは、FCハウスでまったり過ごすのが日課になった。このまま続けてもいいかなという気持ちと、やる気が起きないので止めたほうがいいかなという気持ちの両方があった。FCハウスに居てもやる気が起きないので、動画をみたり読書とかしていた。時々、FCメンバからルレの誘いとか攻略の手伝いとかがあった。特にマスターは僕と同じレベルなので、高レベルのコンテンツへ一緒に行けた。それも楽しかった。時間に追われない解放感なのだろうか。ゲームの戦闘に没頭してたころは、確かに充実していた。どこで間違えたのだろう。仕事が忙しくなったからかな。仕事は生活のために重要だから、挫折の経験から仕事の生活リズムは崩せなかった。ゲームに人との競争する気持ちを持ち込んだのがいけなかったのかもしれない。でも、攻略は足並みそろえないといけない部分もあった。やはり同じような生活リズムの人と攻略を進めるべきだったかな。やっと冷静に考えられるようになっていた。
きっかけ
IDの攻略は、問題なく終わった。この日は何となく戦闘後も話をつづけた。
「クリアおめでとう。」
「ありがとうございます。シンキさんに付き合ってもらうと安心で助かります。」
「呼んでもらえばいつでも手伝いますよ。ストーリー楽しいですよね。」
「楽しんでます。」
「レクエさんは、なにがきっかけでこのゲーム始めたんですか。」
初心者の人にいつもする質問をしてしまった。
「友達がやっていたからです。」
他に友達がいるんだ。
「友達とは一緒にやってないんですか。」と聞き返す。
「やっていますよ。」と返された。
僕のことかなと考えてしまい、それ以上、質問できなくなった。彼女は、
「じゃ、クエスト終わらせて、先に進めますね。また連絡します。」
と言って別れた。
暇
毎日、FCハウスでボケっとしているので、僕は暇だと思われている。僕の引退宣言を知っているのは、マスターだけだった。他のメンバからは、ただの暇な人に思われていた。まあ、暇なんだけど。だから毎日、ルレの誘いが来る。身内で行くルレなんて久しぶりで新鮮に感じた。正直楽しかった。FCメンバとルレ回っているときにクレエさんから連絡が来た。
「シンキさん、次のIDを開放したので、手伝ってほしいんですが、大丈夫ですか?」だった。
「ちょっと待ってください。いま、FCでルレ行ってるので。」
「わかりました。終ったら連絡ください。」
1個のルレが終わったところで、僕は、
「マスター、フレから応援の要請が来たので、僕抜けます。お疲れ様でした。」と言って、離れた。
IDの誘い
数日ぶりにレクエさんから連絡が入った。
「シンキさん、次のIDを開放したので、手伝ってほしいんですが、大丈夫ですか?」だった。
「レクエさん、こんにちは。いいですよ。いつでも」そう、僕は暇だ。
パーティ勧誘が来た。パ-ティを組むとすぐにIDに入った。僕は、前回と同じタンクだ。彼女は弓術士のままだった。無事戦闘が終わる。前回と同様、IDに残っているのは、僕と彼女の二人だった。
「クリアおめでとう」とお祝いを言う。
「ありがとうございます。」と彼女。
「次もお願いしていいですか、お手伝い。」と彼女は続けた。
「いですよ、いつでも。遠慮なく、誘ってください。」と返した。
FC加入
弱小FCに加入した。マスターに新メンバと紹介された。4人目のメンバとして。ギルをFCに寄付した。当面の活動費の数百万ギルくらいを残して、1億ギル近くを寄付した。確かにカンパニーチェストには、数万ギルしか入っていなかった。既存メンバ3人に感謝の嵐をもらった。なんか恥ずかしさを感じた。腰掛のつもりで、居場所が欲しかっただけだ。何もせず、エーテライト付近にたたずんでいると戦闘フレに見つからないか気になっていた。もう誰の記憶にも残っていないかもしれないのに。
4人そろったので早速ルレ行こうという流れになった。いや、僕はそのつもりはなかったんだけど・・・。いくつかのルレに付き合わされた。トークンが溢れていたが、気にしなかった。
「うまいんですね。」と褒められた。
「いや、戦闘ばかりやってたから。」としか言えなかった。FCメンバと攻略していると若葉のころの自分を思い出した。自分もこんな感じだったんだよな。楽しかったなと思い出していた。
寄付
暇だったので、コメントの返信で会って考えますと返した。するとコメントを書いたFCのマスターだと名乗る人から連絡が来た。
「こんばんは、FCマスターしている者です。ぶしつけですみません。弱小FCを助けると思って、ご協力下さい。」
「いいんですけど、どんなFCなんですか。」
別に興味がなかったけど、聞かないで資産渡すのもなんだし、確認しようかなと思った。
「今、メンバが私含めて3人しかいません。基本カジュアル系です。IDに身内で行きたいので人増やそうと思ってます。」
そこまでは聞いてないけど、まあいいか。
「ハウスが買いたいとかですか。」
「いいえ、FCハウスは、小さいですが先日購入しました。そしたら資産が0になってしまって。運転資金というか、将来に備えた資金が欲しいと考えています。」
「そうですか、わかりました。ちょっと課金が止まるまで時間があるので、僕をFCに入れてもらえれば、寄付します。」
日記
引退宣言しても、僕を心配して連絡してくるフレはいなかった。戦闘に偏った遊び方していたので、戦闘を止めた僕に関心を持つフレは誰もいなかった。もう、僕のことなど忘れたのか。そもそも、日記を見ているのかもわからない。僕は、日記を見返した。始めた時の自己紹介の日記と引退宣言の日記の二つしかなかった。我ながらちょっと恥ずかしかった。日記でも書いてみようかと思って1回出してそれっきりだった。引退宣言した手前、ログインしているのは、気まずかったけれど、彼女のことが気になって、毎日、ログインだけはしていた。何をするでもなく。ただインして、僕は、動画とかを見ていた。時おり、彼女が気になってロドストとSNSをチェックしていた。ロドスト見たら、僕の引退日記にいいねがついていて、コメントがかかれていた。
「突然すみません。引退されるなら所有資産を私のFCに寄付お願いします。」とあった。
そういわれてみれば、戦闘にはお金がかかるので、そこそこの資産があった。それに、僕は、装備も自作派だったので素材とかもたくさん持っていた。自作派が時間を消費する原因でもあった。これどうしようと思案した。