その後

しばらくすると眼鏡女子もログインしなくなり、僕にマスター権限が移った。眼鏡女子のキャラクターも削除されてしまった。
結局、FCは、ウサ男と僕の二人だけに戻った。FCハウスは残ったけど・・・。

今、二人してこれからどうしようか話し合っている。せっかくFCハウスも手に入ったわけだし、新しいメンバを募集することにした。今回の経験から事件屋をモチーフにしたFCにしようかなと考えている。僕がヒルディでウサ男が助手だ。新たなメンバを迎えて、次に起こる難事件を僕の頭脳で解決に導きたいと考えている。

おしまい

2キャラ操作 

一つ疑問は持ったことを聞いた。「眼鏡女子さんと身美人エレ女さんが同時に居たのはどういう仕組み?」
「身美人エレ女は、私のサブキャラじゃなく、別アカウントのキャラクターです。操作しているのは私ですけど。」
「なるほど、だから身美人エレ女さんが動いているときは、眼鏡女子さんは停止していたんですね。」
「サブアカ分のリアルマネーもかかったので、このFCは私が管理します。」と眼鏡女子は宣言した。


僕は、マスターなどもうどうでもよくなっていた。しかしウサ男は、空気も読めず。
「とりあえず、FCは、返ってきたんで、サブマスに戻してくれないかな。」
それに対して、眼鏡女子は、
「ウサ男さんは、本物なんで戦力外です。チェストの使用権限も付与しません。」
僕も大きくうなずいて同意した。すると眼鏡女子は、
「マスターさんは、私に忠実なので、私にマスター権限が移ったら、サブマスにしてあげますね。」
と言われた。僕は、マスターからの降格がとてもうれしかった。
ウサ男は、「チョコは引き出してくれよ。チェストにミコッテにもらったホワイトチョコが3枚入っている。ただ、ホワイトチョコ嫌いなんで、代わりにハートチョコ3枚もらっといたけど」
眼鏡女子は、これを聞くとすぐに、本部にこの内容を伝えていた。多分、世界を救ったのは、ウサ男だ。このことは、僕もウサ男も一生、知ることはない。

顛末

眼鏡女子は、顛末を説明してくれた。
「商談に来た着ぐるみがメインキャラだと気が付いたので、着ぐるみがログインしているということは、マスター権限を持つサブキャラはすでにログアウトしていると推測しました。なので、商談日を一日遅らせて、私にマスター権限が支払い日より1日早く移ることを期待しました。ミコッテ女子は、完全に油断しており、思った通り、1日早く、昨日、マスター権限が私に移譲されました。このまま、半額渡すわけもなく、その場で除名できたんだけど、つまらないのでアラグ錫貨を大量に用意して、金貨と入れ替えました。泥棒猫のアホづらが拝めてすっきりしましたよね。」
僕は、彼女についていこうとさらに強く心に決めた。

集合

「みんな出てきて。」と身美人エレ女から僕たちにFCハウスに入る様に合図があった。
僕たちは、FCハウスの中に問題なく入れた。


僕たちが入ってくるとミコッテ女子は、驚いた様子で身美人エレ女に向かって叫んだ。
「どういうこと!?」
「・・・」身美人エレ女は黙ったままだ。
遅れて眼鏡女子が入ってきてしゃべりだした。
「残念ですが、身美人エレ女がこのFCのマスターで、私がサブマスです。35日後に、私がマスターに昇格します。」
それを聞いて僕は、“マスターは僕に戻るんじゃないの??”と思った。
「泥棒猫さんは、除名させてもらいます。」というなり、ミコッテ女子を除名した。
「あと、金貨はよく確認されたほうが良いですよ。」と続けた。
ミコッテ女子は慌てて、荷物の中を確認する。
「これ金貨じゃなくて錫貨じゃん!!これ!!」
アラグ錫貨は、1枚、25ギルにしかならず、99×19=1881枚は、47,025ギルにしかならない。
「手数料としてお支払いします。返さなくていいですよ。受け取っておいてください。」眼鏡女子は、勝ち誇ったように言い放った。
ぐぬぬという感じでミコッテ女子は、言葉もなく出て行った。ミコッテ女子が出ていくと身美人エレ女もその場から消えた。

奪還

待つ間の35日の間、僕はウサ男を無視して、眼鏡女子のストーカーをしていた。もう僕は、彼女についていくと決めていた。また、身美人エレ女にも会いたかったし。
眼鏡女子は、毎日インしていたが、活動はほとんどしていなかった。僕は忠犬のように張り付いていた。

支払いの日が来た。支払いが終わるまで、身美人エレ女以外は、FCハウスの外に隠れていることとなった。
身美人エレ女だけがFCハウスに入り、ミコッテ女子を待つ。
ミコッテ女子がFCハウスに入ってきた。
「おまたせ、さっそくチェストから金貨引き出させてもらいます。」
次々とチェストから硬貨袋が持ち出されていった。全部持ち出すと
「では残りのギルを払ってちょうだい。」
これに対して、身美人エレ女は、
「泥棒に払うギルはないわよ」と宣言した。
ミコッテ女子は、「裏切るの!!」と怒りを表す。

入金

次の日、長身美人エレ女は、FCハウスでミコッテ女子と最後の商談を進めていた。長身美人エレ女は、半額の450万ギルの代わりにチェストにアラグ金貨99枚を19組詰め込んだ。アラグ金貨1枚、2500ギルに相当するので、99×19=1881枚は、4,702,500ギルに相当する。 

ミコッテ女子は、「アラグ金貨なんて聞いていない。」と抗議する。 
「保険です。裏切られた時に簡単に持ち出させると困るので。半額以上入れたので文句ないでしょ。」と取り合わない。 
「残りはギルで払いますよ。では、35日後のこの日、この時間にここに集合ということでよいですか」 
長身美人エレ女は、見た目通り、交渉術にたけていた。終始、交渉の主導権を握っていた。 
ミコッテ女子は、「わかったわ。じゃ私は、裏切るつもりはないので、35日後のこの日、この時間にここで会いましょう。」 
と言って去っていった。 

次の週、眼鏡女子から取引について、僕たちに説明があった。 
「とりあえず、売却交渉は終わりました。次は、35日後の支払いです。その時に、FCハウスに集まりましょう。」 

商談

商談の土曜日午後、着ぐるみ、ウサ男、眼鏡女子、僕でFCハウス前に集合した。
もう入ることができないFCハウス。眼鏡女子は、ここにいる。どうするんだよと思っていると着ぐるみが僕たちの前に出てこちらに振り向いた。頭装備が外れている。
その顔はまさにミコッテ女子だった。
「皆さんごきげんよう。全員お揃いね。残念ながら今回買い手がついたの。このFCハウスはFCごと売却させてもらうわ。」
高らかに笑って見せた。
そこに、長身美人エレ女が現れた。
「お待たせしました。ミコッテ女子さん。早速商談に入りましょう。」
「長身美人エレ女さんですね。この度は、ありがとうございます。下々の物がうるさいので、別の場所で商談しましょう。移動しますのでPT組んでください。」
ウサ男、眼鏡女子と僕は、その場に残された。
どうするんだよと眼鏡女子に相談しても、眼鏡女子はピクリとも動かない。あれ、ネットが落ちたかなと思ったがオンラインのようだった。


この時、別の場所で、売却の話が進んでいた。長身美人エレ女は、900万ギルに値切り交渉し、さらに、信用できないのでは、マスター権限移譲前は、半額しか入れないことを宣言した。買い手がつかないで焦っていたミコッテ女子は、その条件をのんだ。ここでさらに長身美人エレ女は、十二神歴的に今日は日が悪いので、明日、取引日にします。また明日。FCハウス前で取引しましょうと言った。そのまま今日の商談は終わった。

FCハウス前の眼鏡女子は、空を見つめたまま、黙って、動かないままだった。僕たちはその場で待つしかなかった。しばらくして、ぴくっと急に動き出した。
眼鏡女子は、「早くここを離れましょう」というなり、その場を離れた。

長身美人

次の日、眼鏡女子に待ち合わせに指定された場所に向かう。時間になると僕の前に長身美人エレ女が現れた。
「マスターさん私です。」と声をかけられる。
ドキッとするほどの美女だ。
「こ、こんにちは、眼鏡女子さんですか。」
「そうです。このキャラで、ミコッテ女子と連絡を取ります。今日、作戦開始です。」
FC売却の日記は定期的に掲載されていた。そこに購入希望とコメントを入れた。早速、ミコッテ女子からコンタクトがあり、週末の土曜日の午後にFCハウス前で商談することとなった。


なぜか商談の情報が、ミコッテ女子からウサ男に連絡されていた。
「悔しいでしょ。商談の様子を見に来なさいよ。FCハウスの前で行うので。」
疑うのは当然だ、着ぐるみが売り手本人なので、僕たちは、ウサ男を含めて会議を行わなくなっていたからだ。作戦は、眼鏡女子と僕で計画していた。というよりすべて眼鏡女子が仕切っていた。
眼鏡女子は、この誘いは、買い手が、私たちのおとりじゃないか疑って、商談の場に僕たち全員いるか確認するためだと推測した。眼鏡女子はこの誘いに乗りましょうと言った。
土曜日の午後にFCハウス前に集合となったが、眼鏡女子どの様に対応するのかわからなかった。

反撃作戦

次の日、また僕たちは、ウルダハの冒険者ギルドに集まった。着ぐるみも来ていた。事前に眼鏡女子から着ぐるみが来たら、1時間くらい適当に雑談して、解散するように言われていた。ウサ男は、眼鏡女子から何も言われていないようで、ああだこうだうるさい。着ぐるみは、昨日のように運営が絡む話になると、それは無理でしょうとあきらめさせる作戦のようだった。僕と眼鏡女子は、ウサ男を適当にあしらって今日は解散とした。


解散した後、また数分後に、眼鏡女子からTellが入る。また、淡い期待を感じた。
「いろいろ考えましたが捨て身作戦しかないですね。」
眼鏡女子が切り出した。
「私がおとりのサブキャラを作ります。サブキャラにFCハウスを購入させます。」
「作戦は、こうです。まず、なるべく値切ります。それから、最初に半額だけチェストに入れます。残りの半分は、マスター権限が移行した後に支払いとします。」
「それじゃ買戻しじゃないですか。1000万なんて大金持っていませんよ。」
「当然、マスター権限が私に移った時点で、着ぐるみは除名しますので、ミコッテ女子に渡るのは半額です。」
ここで問題の資金について眼鏡女子が僕に聞いてきた。
「問題は、1000万近いギルを用意する必要があります。持っていますか?」
「当然持っていません。」
「ですよね。今回は私が用立てします。必ず返してもらいますから。」
眼鏡女子が女神に昇格された瞬間だ。
「マスターさんだけに、明日、サブキャラの姿を見せます。ウサ男は、本物なので絶対に言わないでください。」
本物とは、本当のバカのことらしい。僕もそう思う。

売買リスク

Tellの向こう側で呆れられていることが手に取るようにわかった。
「そこで、売り手は、監視役をFCに残しておきたいと思うはずです。そうすると今度は、買い手側にリスクが移ります。マスター権限が移行する35日間、いつギルが引き出されて除名されるかわからないためです。」
「あー、そうですね。」と僕は納得した。彼女のおおきなため息が聞こえた気がした。
「一等地といえSサイズですし、需要はそんなに高くないと思います。ゆっくり対策考えましょう。それより、FCに残した監視役です。わかりすよね。」
「も、もちろんです。だれですか?」と僕はわからなかった。
「マスターさん、本当に抜けてますね。唯一除名されていない、着ぐるみです。」
「あっ、そうか、そうですね。」
「だからあの場で話さず、こうして、二人だけで、離れて話してるんじゃないですか。私の推測では、ミコッテ女子と着ぐるみは同一アカウントです。二人が同時にログインしているところを今まで見たことがありません。」
「そー言われてみるとそうですね。」
僕の納得した様子に、眼鏡女子は、呆れたように、言った。
「今日は遅いので、明日また考えましょう。マスターさんも対応策考えてきてくださいね。あまり期待はしていませんけど。」