作戦

解散から数分後、眼鏡女子からTELLが入る。えっと思った。淡い期待を持ったのだが、
「まだ、マスターさんと呼べばいいですかね」
呼び方の確認かよと思って、
「呼び方はどうでもよいです。」
投げやりに返すと。眼鏡女子は、先ほどの取引ついて話し出した。
「この取引には、売り手、買い手とも、どちらの側にもリスクがあります。」
僕は、わかった風に
「そうですね」
と答えた。
「ギルの受け渡し時点でどちらかにリスクが発生します。買い手にマスター権限が移る前に売り手にギルが渡ると買い手がFC譲渡前に除名される可能性があります。逆に買い手にマスター権限が移った後だと売り手がギルを引き出す前に除名される可能性があります」
僕は、再び、わかった風に
「そうですね」
と答えた。
「あと、この取引は、売り手が1名の場合は、売り手側のリスクとなります。お分かりですか、マスターさん。」
僕は、再び、わかった風に
「そうですね」
と答えた。
「本当にわかっているんですか?」
「すみません。わかりません。」
Tellの向こう側で呆れられていることが手に取るようにわかった。
「売り手側のマスターは、買い手が新参のためマスター権を譲るために35日間ログインができません。マスター権限が買い手に移った瞬間、売り手は、メンバに格下げになるので、ギルを引き出す前に除名される可能性があります。」 「あー、そうですね。」と僕は納得した。

転売

テロリストが原発施設にサイバー攻撃をかける様子はない。まだキーはテロリストに渡っていないのか。しかし、既にチェストの中身は、テロリストに伝えられていた。 
ハートチョコが238個、ホワイトチョコが880個だった。チョコの数がキーだったのだ。 ミコッテ女子は、テロリストから謝礼を受け取り、あとは好きにしてよいと言われていた。 僕たちは、ゲームの進行もそっちのけでミコッテ女子の監視を続けた。数日後にロドストにFC売りますの日記が出た。僕たちのFCハウスの土地が1000万ギルで売りに出された。 
取引のやり方は、とても面倒だ。 購入希望者がまずFCに加入する。購入希望者がカンパニーチェストに1000万ギルを入れる。購入希望者の権限を2番目に設定する。マスターは、その後35日間ログインしない。 36日目にマスター権限が購入希望者に移る。晴れて取引成立。 
僕は面倒な取引だなと思ったが、誰もこの場で取引の詳細を優しく説明してくれなかった。多分、ウサ男も着ぐるみも理解できていないと思う。出来ているとしたら眼鏡女子だけだ。 ちらりと眼鏡女子をみた。眼鏡女子は、僕の視線をそのままそらさした。完全に嫌われていると思った。 
この日は、いい対策のアイデアが出ないまま解散となった。 

提案

僕は、さらに考えて、じゃ、ロドスト日記なんかに本件を載せてみたらどうかなと提案してみた。眼鏡女子の評価が上がるはずと今度は自信があった。
そしたら、着ぐるみがまた、
「さらし行為になります。除名も定式な手続きを踏んでいるので当事者間で解決しないと規約違反で、こちらが運営から罰則を受けます。」
着ぐるみの言うことも一理ある。
と眼鏡女子を見ると、僕に呆れたエモートを飛ばしてきた。完全な敗北だ。ウサ男からも「マスターなんだからしっかりしろよ。」と言われる。お前だろマスターは!!

会議

眼鏡女子の中の人は、警視庁の本部と連絡を取った。既に暗号キーは、テロリストの手に渡っている可能性ありと。眼鏡女子は、サイバー犯罪課の捜査員だった。このことを僕は、今後も知ることはない。ミコッテ女子は、テロリストに雇われた人間らしい。
眼鏡女子は、こんな時、冷静に、眼鏡を正して、つぶやいた。
「まずは、ミコッテ女子の目的を把握しましょう。」
惚れた。僕は、眼鏡を正すしぐさに完全にやられた。
僕は、まずは運営に相談してみたらと自信なげに言ってみた。
そうしたら、戦力外の着ぐるみがしゃしゃり出てきた。
「こういうことは運営はタッチしないでしょう。正式にマスター権限が委譲されている以上、規約違反でもないですし。」
着ぐるみの言うことも一理ある。

乗っ取られ

ミコッテ女子にFCが乗っ取られていた。というより、全員除名されていた。正確にいうと着ぐるみだけは、除名されていなかった。ミコッテ女子にとっても着ぐるみは、戦力外ということだろう。
僕たちは、ハウスを失ったため、昔のようにウルダハの冒険者ギルドに集合した。そこには、着ぐるみもいた。まずは、マスターであったはずのウサ男を問い詰めた。
「ミコッテ女子からヴァレンティオンのチョコをあげたいと言われて呼び出されたんだよ。俺の嫌いなホワイトチョコだったんだけど。それはどうでもいいか。ミコッテ女子に僕の方がマスターにふさわしいと言われたので、お前からマスター権限をもらったんだよ。そしたら今度は、一度マスターやってみたいというんだよ。直ぐに返すから一度マスターにしてとお願いされたんだ。」
僕は声を失った。
「ミコッテ女子は、マスターになったとたん。僕らを除名した。本当に女は信用できねえ。」
ウサ男とは、もうリアフレも絶交しようと思った。本当に。

乗っ取り

次の日、ウサ男がいきなりマスターになりたいと言ってきた。理由を聞くと、これまでは、ハウスもないFCだったけど、ハウスも持ったので、ちゃんとした人がマスターやったほうがいいと思うといってきた。
たしかに僕もマスターらしいことはやってこなかったけど、ウサ男も大して変わらないだろうと思った。リアフレなので関係を悪くしたくなかった僕は、真剣な相談に負けて、マスター権限を委譲してしまった。
眼鏡女子に会計責任者を任命する前にウサ男をマスターにしてしまった。次の日、大変になるとも知らずに。

チョコレート

ちょうど月は2月、ヴァレンティオンデーのイベントのさなかである。喧噪の中、なんとSサイズの一等地に当選した。土地の支払いも済、晴れて僕らの土地を手に入れた。すぐに、眼鏡女子を会計責任者に任命しようと考えていたがいろいろあり後回しにしていた。
その日の夜、ミコッテ女子から僕に連絡が入った。個人的な相談を含めてだという。
「マスターさんは、誰かとお付き合いしていますか?」
「いいえ、していませんよ。なんでですか。」
「わたしー。マスターさんのこと、ちょっと意識してるんです。これ私の気持ちです。」とハートチョコを渡された。
「ありがとう。」と言ってその場で食べた。
「それで、私たち二人の将来的なことも考えて、FCをもっと大きくしたい思うんです。私に、募集担当させてくれませんか? 招待と除名の権限を付与して欲しいんです。」
「ごめんね。そういうことは、みんなと相談して決めるから。」
何とか誘惑を振り切って、僕は、その場を逃げ切った。誘惑されている間、ずっと僕は、眼鏡女子のことだけを考えていた。

出資

僕は、マスターだがギルの管理には頓着していなかった。ウサ男もだ。ここで眼鏡女子から提案があった。
「私がハウス購入資金を出資します。代わりに、私をFCの会計責任者にして、チェストの管理を任せて下さい。」と言ってきた。
女神に見えた。資金に関しては、ウサ男とミコッテ女子は役に立たない。着ぐるみは、戦力外だ。眼鏡女子のお陰で、Sサイズを購入する資金の目途は立った。早速、土地を物色し、運よくSサイズでも一等地の空きがあった。ワクワクしながら抽選日を待つ。

ハウス購入

FCの当面の目標は、ハウスを手に入れることに定めた。マスターとしての決断だ。
ただし、そのためにはギルが必要だ。Sサイズでも300万ギル。建物を加えると400万ギルは最低でも必要だ。Mサイズ、Lサイズになると桁が変わるので、僕には現実的に考えられなかった。まずは、Sハウスを手に入れるのが目標となった。
常時インしている人数は、大体4人くらい。5人そろうことはなかった。着ぐるみとミコッテ女子のイン率が低かった。着ぐるみは、僕の中で、数合わせなので特に気にしなかった。ミコッテ女子には、入っていてほしかった。

顔合わせ

顔合わせを行ったが、この日は、ミコッテ女子はインしていなかった。まあ、4人の顔合わせでよかった。ミコッテ女子は、着ぐるみには、興味ないのかなと思った。
この後、応募はなかった、当面5人での運営となった。
リアフレしかいなかったのでチェストの出庫には権限はかけていなかったが、さすがに新人が入ったので権限を付与した。
FCの階級は、僕がマスター、ウサ男がサブマス、他3名がメンバとした。僕とウサ男の権限に違いはつけなかった。
チェストの1番には、僕とウサ男だけが閲覧と入出庫できるようにした。チョコはそこに保管してある。あれ以来、連絡もないので、邪魔なので、チェストに押し込んでいたのだ。
すっかり忘れていたが、大事と言っていたので、大事にしまっている。