Tellの向こう側で呆れられていることが手に取るようにわかった。
「そこで、売り手は、監視役をFCに残しておきたいと思うはずです。そうすると今度は、買い手側にリスクが移ります。マスター権限が移行する35日間、いつギルが引き出されて除名されるかわからないためです。」
「あー、そうですね。」と僕は納得した。彼女のおおきなため息が聞こえた気がした。
「一等地といえSサイズですし、需要はそんなに高くないと思います。ゆっくり対策考えましょう。それより、FCに残した監視役です。わかりすよね。」
「も、もちろんです。だれですか?」と僕はわからなかった。
「マスターさん、本当に抜けてますね。唯一除名されていない、着ぐるみです。」
「あっ、そうか、そうですね。」
「だからあの場で話さず、こうして、二人だけで、離れて話してるんじゃないですか。私の推測では、ミコッテ女子と着ぐるみは同一アカウントです。二人が同時にログインしているところを今まで見たことがありません。」
「そー言われてみるとそうですね。」
僕の納得した様子に、眼鏡女子は、呆れたように、言った。
「今日は遅いので、明日また考えましょう。マスターさんも対応策考えてきてくださいね。あまり期待はしていませんけど。」
